セルインメイ(株は5月に売れ)とは毎年必ず言われるアメリカ株の格言です。
しかしセル・イン・メイは本当なのでしょうか?
本記事では、セルインメイが本当なのかどうか、2012年までの米国株かチャートをもとに検証していきます。
- セルインメイをNYダウ30とS&P500で検証
- セルインメイが発生する理由・原因とは?
- セルインメイの対応方法;ヘルスケアと消費財セクターがおすすめか?
尚、セルインメイという投資格言は、英語をそのままカタカナ変換しています。
つまりセルインメイは、米国株式市場のデータをもとにうまれた言葉。
なので本場アメリカ市場の株価チャートを参照するというわけですね。
セルインメイを米国株NYダウ平均株価で検証したら、本当だった
月別のNYダウ30株価をみると、セルインメイが本当だったとわかります。
上図では、3つの年代別のNYダウ平均株価指数の月次利回りの比較結果。
米国株では5月~9月にかけての投資収益は低下していたのです。
NYダウの年代区分
- 1885年~2012年
- 1946年~2012年
- 1995年~2012年
ちなみに赤い枠で囲ってる部分が、セルインメイが該当する5月~9月のリターンです。
確かに夏場の米国株式市場は、下落傾向であることが読み取れますね。
アメリカ株・NYダウでは、セルインメイは真実だったといえます。
セルインメイをNYダウ平均株価のリターンで再検証;5月~10月の投資収益は低下傾向
続いてダウ平均リターン別の角度からみていきます。
1年を2つにわけてリターンを確認します。
INVESTOPEDIAを参照し、セルインメイに対応した5月~10月と11月~4月にわけるのです。
1950年以降におけるNYダウ平均株価のリターン
- 5月~10月:0.3%
- 11月~4月:7.5%
投資をする季節によって、NYダウの投資収益は大きく異なっていました。
NYダウにおいて、セルインメイの相場格言は真実であるようにみえます。
それでは、S&P500にセルインメイは当てはまるのでしょうか?
セルインメイをS&P500の月次利回りで検証しても、真実だった
この図は、年代を3つに区切った上でS&P500の月次利回りを示しています。
上述のNYダウ平均データと異なる点は、最古年および配当を含んでいること。
- 1926年~2012年
- 1946年~2012年
- 1995年~2012年
赤い枠で囲ってる部分が、S&P500の5月~9月リターンです。
セルインメイに注目すると気になる2つの点
- 9月は最悪のリターン
- 8月は1995年以降で最悪のリターン
セルインメイ後の8月・9月はマイナスパフォーマンスだったとわかります。
この結果をみれば、米国株投資家は夏場はむやみやたらに株式買付するべきではないですね。
セルインメイのアメリカ株投資格言は、事実を反映した言葉であるようにみえます。
セルインメイとは、米国株のアノマリ―
セルインメイ(sell in May)とは、夏場に株価下落するので5月に売って9月に買い直しなさい、と理解できます。
投資格言でいう「株は五月に売れ」ということです。
英語で表現されていることからわかるように、米国株のアノマリ―です。
「セルインメイ」をネットで調べると、すぐに意味が出てきます。
アメリカ合衆国の株式相場の格言の1つで、5月に保有しているポジションを売り払いなさいという意味。
セルインメイには続きの文があり、正式には「Sell in May and go away;don’t come back until St Leger day.」という。和訳すると「5月に売って立ち去りなさい、そしてセント・レジャー・デーまで戻ってきてはいけません。」になる。
株式相場の過去の値動きをみると、5月から8月にかけて値下がりし、セント・レジャー・デーの9月頃から値上りすることが多い。日本においても8月は盆休みがあり相場が閑散して値下りすることが多い。
セルインメイが、アノマリーの一種であることはわかります。
しかしながら日本語のページを検索しても客観的事実が出てきません。
このような時にはアメリカ市場の歴史を紐解くことにします。
それがセルインメイの謎の解決につながるのです。
セルインメイについて調べる方法
- 米国株投資のバイブル、シーゲル本 株式投資 第4版を参照
- アノマリーの意味をおさらい
セルインメイには続きがあった【バイイン】
セルインメイには続きの文があります。
正式には「Sell in May and go away;don’t come back until St Leger day.」
つまりどこかでバイインすることも必要。
やはり9月に買戻しをすることがデータからは良さそうです。
セルインメイはアメリカ株の相場格言;理論的根拠はない
アノマリーは、ある法則や理論から見て異常(例外)、または説明できない事象のことをいいます。
セル・イン・メイがアノマリーです。
つまり理論的根拠はありません。
しかしセルインメイという相場格言はよく当たるのです。
ここまでで紹介したように夏場の米国株式運用パフォーマンスは優れていません。
セルインメイは、しっかりとしたエビデンスに基づいているといえるでしょう。
セルインメイの理由や根拠は不明。それでも米国株投資家は注意をしておきたい
米国株価指数の2つを用いた検証の結果、「株は5月に売れ」は確かであることが分かりました。
S&P500とNYダウ30のデータを背景に、セルインメイの投資格言が広まったのだと推測できます。
ただし米国株のアノマリーであるために理論的根拠は乏しいのです。
つまり、なぜ5-9月ではリターンが低下するのか、理由がわかっていません。
セルインメイという言葉だけが先行しているわけです。
しかしながらアメリカ市場の過去データをみると、夏場に値下がりすることは紛れもない事実。
この結果だけ分かれば十分でしょう。
換言すれば、夏~秋にかけて下げ相場になりやすいと個人投資家は認知していればよいのです。
まさにセルインメイ。
ブルーチップを安値で買えるチャンス到来と、米株の長期投資家は心づもりが出来るわけです。
最後にセル・イン・メイへの対応方法を残しておきましょう。
セルインメイへの対応方法は、ヘルスケアと消費財セクターにあり
投資家に向けて大切な情報をINVESTOPEDIAは、発信してくれています。
セルインメイへの対応方法
- 季節の影響を受けにくいセクターを選ぶと良い
- 例えばヘルスケアセクターは、5-10月のリターンが高い傾向がある
- また消費財セクターも同様である
5-10月シーズンでは、ヘルスケアと消費財セクターが一般的に推奨されています。
確かに季節性商品を扱っていないセクターや銘柄ならば、セルインメイへの対抗策として使えます。
米国株における両セクターの代表企業をピックアップしてみましょう。
セルインメイに強いヘルスケアセクターの米国株
- 【JNJ】ジョンソン・エンド・ジョンソン
- 【PFE】ファイザー
- 【MRK】メルク
- 【GILD】ギリアド・サイエンシズ
- 【AMGN】アムジェン
- 【BMY】ブリストル・マイヤーズ スクイブ
- 【UNH】ユナイテッドヘルス・グループ
- 【MDT】メドトロニック
- 【ABBV】アッヴィ
セルインメイに強い一般消費財セクターの米国株
- 【AMZN】アマゾン
- 【HD】ホーム・デポ
- 【DIS】ウォルト・ディズニー
- 【CMCSA】コミュキャスト
- 【MCD】マクドナルド
- 【SBUX】スターバックス
- 【NKE】ナイキ
揃いも揃って、超優良企業ばかり。
セルインメイとは関係なく、いつでも買い注文をしたくなる米国個別株ですね。
まとめ:セルインメイとは米国市場における事実であった
本記事では、セルインメイとは何か、アメリカ市場の過去リターンを検証しました。
その結果、セルインメイは確かに真実だとわかりました。
ところがその理由は不明瞭。
セルインメイはいわゆるアメリカ株のアノマリ―だといえます。
一方でセルインメイに対応できるセクターと銘柄が確認できました。
特に良好なリターンを示しているセクターは、ヘルスケアと消費財。
セルインメイ後の、5-10月にアメリカ株を購入する際は、2セクターから選択するのが良さそうです。
セルインメイに強いセクター
- ヘルスケアセクター
- 消費財セクター
このようにしっかりとしたデータを示してくれる米国株はやっぱりイイですね。
以上、「セルインメイの検証」でした。
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