米国株配当貴族インデックスとは25年以上連続増配した企業から厳選された銘柄で構成されるスマートベータである。米国株配当貴族指数は50銘柄で構成されている。
本記事では米国株配当貴族インデックスとは何なのかを簡単に紹介した後、S&P配当貴族インデックスを構成する銘柄の10年リターンランキングを記録しておく。それとともに個人的な考察も残しておきたい。
アメリカ株のなかでも優良企業を対象とした順位付けであり、米国株に興味をみつ個人投資家にはお役立ていただけると思う。
結果を先に申し上げておくが、第1位は【SHW】であった。
シャーウィン・ウィリアムズは、創業150年の老舗塗装メーカーである。配当利回りが低いためにこれまで全然注視していなかったし、私は知らなかった会社だ。
米国株配当貴族インデックスとは?
高貴なる集団に所属する為には、3つのクライテリアを最低限満たす必要がある。
- S&P500の構成銘柄である事
- 25年以上連続増配を達成している事
- 一定以上のサイズと流動性を保っている事
これらをまとめた指数が配当貴族指数。
S&P500とリターンを比較しても、貴族たちは華麗な振舞いをみせている。
参考配当貴族の構成銘柄一覧 25年連続増配の偉大なる50銘柄【2016年版】
米国株配当貴族銘柄、10年リターン【17年7月】
Ticker | 社名 | 10年リターン | 5年増配率 | 配当利回り | 3 年 EPS 上昇率 | 配当性向 |
---|---|---|---|---|---|---|
SHW | シャーウィン・ウィリアムズ | 17.89 | 18.14 | 0.97 | 18.2 | 26.39 |
BCR | CRバード | 15.08 | 6.21 | 0.32 | -5.72 | 12.98 |
HRL | ホーメル・フーズ | 14.98 | 17.86 | 2.06 | 18.93 | 38.41 |
CTAS | シンタス | 14.28 | 16.47 | 1.05 | 17.36 | 29.23 |
MCD | マクドナルド | 13.33 | 7.37 | 2.44 | -0.67 | 64.66 |
ECL | エコラボ | 12.48 | 14.39 | 1.12 | 9.42 | 34.04 |
BDX | ベクトン・ディッキンソン | 11.69 | 9.99 | 1.45 | -1.3 | 46.18 |
VFC | VFコーポレーショ | 11.6 | 18.58 | 2.91 | 0.85 | 57.66 |
BF.B | ブラウンフォアマン | 11.45 | 9.56 | 1.52 | 3.78 | 41.23 |
PPG | PPGインダストリーズ | 11.4 | 6.66 | 1.5 | -13.59 | 74.42 |
LEG | レゲット・アンド・プラット | 11.32 | 4.03 | 2.74 | 27.98 | 52.11 |
MKC | マコーミック | 11.28 | 8.96 | 2.03 | 7.33 | 51.86 |
ITW | イリノイ・ツール・ワークス | 11.1 | 11.38 | 1.77 | 16.23 | 42.02 |
GD | ゼネラル・ダイナミクス | 10.85 | 10.17 | 1.66 | 11.97 | 30.38 |
ADP | オートマティック・データ・プロセッシング | 10.72 | 7.93 | 2.21 | 12.22 | 56.85 |
LOW | ロウズ | 10.52 | 20.2 | 2.26 | 17.48 | 43.89 |
MMM | スリーエム | 10.26 | 15.08 | 2.21 | 6.69 | 54.47 |
SPGI | マグロウヒル・ファイナンシャル | 10.21 | 7.57 | 1.09 | 41.54 | 17.8 |
SWK | ブラック・アンド・デッカー | 10.15 | 6.62 | 1.72 | 25.67 | 29.28 |
JNJ | ジョンソン・エンド・ジョンソン | 9.96 | 6.96 | 2.46 | 7.23 | 53.78 |
平均 | 平均 | 9.76 | 9.72 | 2.17 | 6.99 | 54.11 |
CL | コルゲート・パーモリーブ | 9.71 | 6.43 | 2.22 | 4.55 | 56.32 |
CLX | クロロックス | 9.46 | 6.96 | 2.57 | 4.51 | 62.52 |
KMB | キンバリー・クラーク | 9.04 | 5.62 | 3.14 | 6.14 | 61.55 |
ED | コン・エジソン | 9.02 | 2.23 | 3.35 | 4.5 | 62.21 |
CINF | シンシナティ・ファイナンシャル | 8.13 | 3.65 | 2.7 | 4.4 | 53.44 |
PEP | ペプシコ | 7.94 | 7.89 | 2.79 | 0.31 | 64.75 |
GWW | W.W. グレインジャー | 7.73 | 13.9 | 3.09 | -3.93 | 49.69 |
GPC | ジェニュイン・パーツ | 7.69 | 7.88 | 3.31 | 1.42 | 57.31 |
KO | コカ・コーラ | 7.65 | 8.29 | 3.3 | -7.78 | 100 |
DOV | ドーバー | 7.58 | 7.83 | 2.12 | -10.93 | 47.03 |
APD | エアープロダクツ・アンド・ケミカルズ | 7.42 | 8.74 | 2.6 | 13.63 | 51.16 |
FRT | フェデラル・リアルティ・インベストメント・トラスト | 7.21 | 7.14 | 3.02 | 15.23 | 124.76 |
PNR | ペンテア | 6.86 | 10.87 | 2.12 | -0.4 | 56.22 |
SYY | シスコ | 6.84 | 3.61 | 2.6 | -0.6 | 67.37 |
WBA | ウォルグリーン・ブーツ・アライアンス | 6.8 | 14.17 | 2.01 | 12.68 | 37.88 |
WMT | ウォルマート | 6.67 | 6.5 | 2.68 | -3.34 | 45.68 |
TROW | T ロウ・プライス・グループ | 6.38 | 11.74 | 2.81 | 6.79 | 42.86 |
MDT | メドトロニック | 6.35 | 12.14 | 2.15 | -1.46 | 59.52 |
ABT | アボット・ラボラトリーズ | 6.3 | -11.17 | 2.14 | -17.4 | 117.42 |
PG | P&G | 5.94 | 6.17 | 3.11 | -2.02 | 74.8 |
AFL | アフラック | 5.88 | 6.18 | 2.21 | -1.71 | 27.32 |
EMR | エマソン・エレクトリック | 4.25 | 6.6 | 3.17 | -3.89 | 74.61 |
CVX | シェブロン | 4.12 | 6.78 | 4.13 | 281.05 | |
CAH | カーディナル・ヘルス | 3.56 | 15.01 | 2.39 | 64.53 | 42.85 |
T | AT&T | 3.33 | 2.21 | 5.37 | -15 | 95.1 |
ADM | アーチャー・ダニエルズ・ミッドラン | 3.16 | 12.73 | 3.09 | 2.26 | 51.69 |
NUE | ニューコア | 2.3 | 0.67 | 2.52 | 17.73 | 45.32 |
BEN | フランクリン・リソーシズ | 1.66 | 16.65 | 1.71 | -4.45 | 24.52 |
XOM | エクソン・モービル | 1.08 | 10 | 3.81 | -36.58 | 125 |
TGT | ターゲット | 0.2 | 16.1 | 4.54 | 2.93 | 49.37 |
ABBV | アッヴィ | 3.52 | 12.35 | 60.88 |
過去のリターンが、未来のそれを表すわけではない。
それでも参考にはなるだろう。
尚、年率ではなく10年間の合計リターンを見たい場合にはTwitterにて、ふ~部長さんがすでに出され、考察されているので参照されたし。
配当貴族 10年トータルリターン (2017年4月20日付)https://t.co/rQMfjWPPYW
— ふ~部長 (@foohbucho) July 21, 2017
参考モーニングスターを用い、米国個別銘柄の10年リターンを知る方法
米国株配当貴族インデックス構成銘柄への私見
考察1 シーゲル銘柄の直近10年リターンは低い
ジェレミー・シーゲル著株式投資の未来の続編Stocks for the Long Run 5/Eでは、1957~2012年のトータルリターンランキングが掲載されている。
フィリップモリスが年率19.47%と驚異的なリターンを示している。50年にわたり、それだけのリターンをたたき出すことの凄まじさ。
今回の米国株配当貴族銘柄10年リターンをみても分かる。
また、ここで注目したいのはシーゲル銘柄が揃いも揃って配当貴族指数平均を下回っていることだ。
アッヴィ【ABBV】は10年リターンが出せないので仕方ないとしよう。
2012年までの過去50年リターン上位銘柄は、リーマンショック以降の直近10年では振るわない。
いかなる優良企業であろうとも、10年単位でリターンを出し続けることの難しさを感じる。
考察2 高配当銘柄の直近10年リターンは低い
配当利回り3%を超える銘柄は、直近10年リターンが低くなっている。
リーマンショック以降、高配当銘柄よりもグロース株の方がリターンが優れていたと言わざるを得ない。しかしだからといって、今後もその傾向が続くかどうかは分からない。
米国の金利と株式リターンを見れば、利上げ後および利上げ後据え置き局面において、配当の重要性が増すからだ。
したがって、配当狙いの個人投資家は今現在ガマンのフェーズ。
利上げ局面以降は、インカムゲインの相対的重要性が増す。
その際には減配リスクの少ない銘柄選びが重要になろう。
米国配当貴族インデックスの10年リターン
モーニングスターを用い、配当貴族銘柄の10年リターンをリサーチした。
高配当銘柄は、直近10年のリターンが芳しくなかったことが可視化された。
しかしながらこの結果が未来を示しているのかは誰にもわからない。
ひとついえることは、10年単位で継続して優れたリターンをたたき出す企業は稀であるということ。この事実を改めて認識したい。
いま花形といわれているFANGだって、10年後の未来の世界の姿は誰にもわからない。
だって我々はIBMの現在を知っているのだから。
と同時に、シーゲル銘柄や配当貴族銘柄の偉大さを痛感した。過去であろうとも長期にわたり実績を積み上げたことは尊敬に値する。
そして20-30年後にはもしかしたらAMZNやGOOGL がその地位についているのかもしれないとも思う。
いずれにせよ、歴史的な実績をもつ企業ですら新陳代謝の対象となるアメリカ市場は、投資対象として魅力的だ。その中でも私は過去を重視し投資継続する。
配当金に注目の米国株マイポートフォリオ
私は配当金を狙った米国株投資をしています。インカムゲインを対象とした投資が自分の性格に合っていると思うからです。
【参考:米国株 注目の51銘柄】
米国株で配当金について注目している銘柄
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配当金狙いのポートフォリオはマネックス証券で構築しています。保有銘柄を適宜公開していますので何か参考にでもなればうれしいです。
【参考:米国株マイポートフォリオ】
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