本記事では、退職後の株式投資における出口戦略を3つの観点から考えていきます。つみたてNISAによる投資信託の積立投資が普及していますし、出口を考えて投資を始めることは大切ですからね。
株式投資の出口戦略で大切な3つのポイント
- 自分のコントロール可能な範囲内に焦点を絞る
- 長期投資を前提にしつつ、人生を楽しむ
- 金融商品を支出に活かす方法を事前に決めておく
株式投資の出口戦略を学ぶ方法;JPモルガンのガイドシリーズを参考にする
日本と米国で株式投資の成熟度を比較すると、米国市場の方が優れていることに気がつきます。
金融庁が米英を参考に、つみたてNISA制度を設計していることからもわかります。
なので個人投資家は米国の投資情報を参考にすることがおすすめです。
株式投資の出口戦略についても、米国市場を参照しましょう。
米国には投資銀行が多数あります。
たとえばJPモルガンは有名な金融機関です。
そのJPモルガンチェースは、Guide to Retirementという退職者向けの投資ガイドPDFを無料で公開しています。
Guideシリーズは投資データが満載ですし、米国株投資のおすすめ情報源のひとつです。
ここからは、米国を代表する金融機関による株式投資の退職後における出口戦略を参考に、すすめていきましょう。
退職後の株式投資の出口戦略で気をつけたい3つのポイント
①株式投資ではコントロール可能なものに集中して出口を考える
Guide to Retirementを参照に、著者作成
株式投資に限らず、人生では自分がコントロール可能なものに意識と行動を集中することが大切です。
上図は、退職後の株式投資において個人投資家がコントロール可能かどうかを色分けしたものです。
みずからがコントロール不可能な事項を心配しても、対策が打てません。
したがいその心配は結果には結びつかず、ほとんど意味をなさない事になります。
個人投資家の対象範囲外のことに懸念を示していては無駄です。
人生の主人公はあなたなのです。
個人投資家自身がコントロールできるもにを意識し、
- その範囲を広げ
- 範囲内で確実に行動する
ことによって、株式投資の出口戦略は成り立ちます。
JPモルガンのGuide to Retirement冒頭では、投資家に対して
コントロール可能なことに集中する
と説いています。
②人生まだまだ長いから楽しもう、出口戦略はまだまだ先
Guide to Retirementより
上図は、65歳まで生きた人が、あと何年生きるのかの平均期間を示しています。
もしあなたが65歳であったとしても、多くの人にとって残された人生は10年・15年以あります。
ですから退職後の株式投資出口戦略だからといって、長期運用の選択肢を捨てる必要はありません。
65歳の米国人夫婦が、75歳まで生きる確率
- 女性:85%
- 男性:79%
- 夫婦どちらか:97%
65歳の米国人夫婦が、85歳まで生きる確率
- 女性:54%
- 男性:42%
- 夫婦どちらか:74%
こうした平均余命データは、退職後の株式投資出口戦略を考える際には大切です。
退職後であっても、長期投資を可能とし時間を味方につけることができるのです。
資産運用だけに限らず、人生を謳歌していきましょう。
退職後の株式投資の出口戦略では、人生もっと楽しんでおこいうぜ という意識を持ちたいものです。
③株式投資の出口戦略とは、どうやってお金を使うのかを考えること
Guide to Retirementより
JPモルガンのおすすめ株式投資出口戦略です。
株式投資の出口戦略の考え方
- 長期ポートフォリオ
↓
- 中期ポートフォリオ
↓
- 短期ポートフォリオ
↓
- 現金
↓
- 支出
長期運用向けのポートフォリオから、短期向けに変更をしつつ、お金を使っていくのです。
資産取り崩しの王道です。
しかし一方で疑問が湧くのです。
こんなに高度なことを退職後、60~80代になったときにできるの?
米国の大規模研究によれば、40代中盤以降の個人投資家は、認知機能が低下し株式投資リターンが低下することが分かっています。
この情報をもとにすれば、退職後にポートフォリオをうまく変更していくことは困難だと思われます
であるとすれば
- 資産運用を誰かに任せてしまう
- 退職前に、資産取り崩しの方法を決めておく
といった解決策が浮かび上がります。
株式投資の出口戦略とは、資産形成ではなく資産取り崩しであることを意識しましょう。
どのようにお金を使っていくのか、どう過ごしたいのかが大切です。
株式投資の出口戦略について、私はこう考える
退職後の株式投資出口戦略では以下の3点を重要視します。
株式投資の出口戦略で大切な3つのポイント
- 自分のコントロール可能な範囲内に焦点を絞る
- 長期投資を前提にしつつ、人生を楽しむ
- 金融商品を支出に活かす方法を事前に決めておく
金融商品をどのように支出に活かすのか?については、やはり配当金生活が良いと私は考えています。
投資元本を減らさず、配当金だけで生活するということです。
そして必要に応じ、資産配分比率を株式→債券(分配有)へと変更する程度でよいでしょう。
配当金や分配金を目安にした投資方法であれば、20代や30代といった若いころから実践可能です。
そして退職後も投資方針を大きく変更せずに済むのです。
高配当株投資とは、株式投資の出口戦略を併せ持っているといえるでしょう。
株式投資の出口戦略は千差万別、自分にあった投資手法を見つけよう
これを言ってはおしまいですが、株式投資における出口戦略は人それぞれです。
運用資金や株式投資の経験が異なりますし、そもそもライフプランが違います。
結局は、投資家自身が株式投資の出口戦略を考え実行する必要があるのです。
今回はJPモルガンの退職後のガイドを参照しました。
世界有数の金融機関だけあって、株式投資の出口戦略はかなり難しいものとなっていました。
とくに認知機能が低下するであろう60代以降では、自ら実行するのは困難だと思われます。
なので私は退職後の株式投資の出口戦略を放棄することにしました。
換言すれば、30代から出口戦略を併せ持った投資戦略を実行していくのです。
つまり配当金や分配金を目的とした、インカム投資ということですね。
以上、退職後の株式投資の出口戦略で大切な3つのポイントでした。
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