実効税率が気になった理由
「租税回避」
こんな言葉を聞いたことはありませんか?
アメリカ企業が租税回避の為に海外企業を買収するというニュースを目にする事があります。
米国製薬大手のファイザーが、アイルランドに本社を置くアラガンを買収しようとしたニュースは記憶に新しいです。
これはアメリカにおける法人税、実効税率が高い事に由来しているのです。
税金を安くするために、米国外に本社を置こうとしたのでしたね。
このあたりに米国は課題を抱えており、トランプ政権になって対策が施されているようです。
米国企業の法人実効税率は日本より高い
法人実効税率の国際比較 16年4月時点
この数値を見ると、アメリカの法人税は高いのだと感じます。
アメリカ企業が租税回避の為に他国に本社を移したくもなるのも理解が出来ます。
しかしながらこの実効税率はそのままの%が米国企業に適応されているわけではなさそうです。
米国企業の実効税率:S&P採用銘柄の例
マネックス証券主催「米国株式月次オンラインセミナー」より
これはマーケットハックで有名な広瀬隆雄さんが、マネックス証券主催の「米国株式月次オンラインセミナー」で発表されたスライドです。
米国企業で40%の法人税を支払っている企業は見当たりません。
なぜだ、なぜなんだ、教えてください広瀬先生!
と聞きたいところだが、ここはグーグル先生に頼ってみましょう。
サクッと結果が出てきます。
アメリカは、実効税率と実際の税率に差がある
坂本 恒夫著 日本企業の実効税率についての一考察 より
調査時点における法定実効税率については、日本は米国とあまり変わらない水準であったが、実際の税負担率でみると大きな差が生じている。?
坂本 恒夫著 日本企業の実効税率についての一考察 より
この表からは、アメリカ企業においては、法定実効税率と実際の税負担率との差が大きいことが分かる。
その差なんと、11.4%
財務省データよりも、広瀬先生の発表スライドの方がより現実を示していると推察されます。
それでは米国企業の中でもより稼いでいる企業はどの位の実効税率なのでしょうか?
米国企業の実行税率と純利益ランキング
フォーブス参照、筆者作成
高収益のアメリカ企業では実効税率が40%という銘柄は見当たりませんでした。
30%を超えている米国企業ですら、25企業の内の8つでしかありません。
米国株の実効税率に対する私見
実効税率が企業毎に大きく異なる事を今回初めて知りました。
トランプ大統領は「法人税を15%に引き下げる!」と言っており、実行に移しました。
しかしながら、アメリカにおける法人税を下げたとしても大きく利益に貢献する企業もあるだろうが、意外と変わらない企業もあると思われます。
もちろん短期的には利益を押し上げるでしょう。
しかし対前年で比較される場合、2年目・3年目にはその効果は薄れそうです。
実行率に関するまとめ
アメリカ企業の実効税率は約40%でした。
しかしながら、実際の税率はこれより11%低いことが分かりました。
実際にS&P500構成銘柄や、純利益上位銘柄では実効税率30%以下の方が多数です。
また企業によって実行税率が10%以上異なることが判明しました。
これらの事より、トランプ大統領の法人税引き下げの恩恵は企業毎によって異なる事が示唆されます。
とはいえ未来はだれにも読めません。
米国全体の発展を信じるなら、米国株投資は選択肢として持っておく必要がありそうです。
See you!
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