ヘルスケアセクター投資の見通しは明るいとされています。
過去も同様。
ジェレミー・シーゲル著作株式投資の未来によると、1957年~2012年のトータルリターンが優れていたという結果がでています。
もちろん先進諸国による医療費抑制政策はヘルスケアセクターの株価にマイナスとなるかもしれません。
それでも人類にはヘルスケアセクターの存在が必要でしょう。
ですからヘルスケアセクターへの投資の見通しはポジティブだろうと思います。
ヘルスケアセクターでは免疫関連の薬剤開発が花盛り。
本記事ではその中でも、免疫チェックポイント阻害剤の開発状況を比較していきます。
比較対象のヘルスケアセクター銘柄
- BMY ブリストル・マイヤーズスクイブ・小野薬品
- MRK メルク
- RHHBY ロシュホールディングス・中外製薬
- PFE ファイザー
- AZN アストラゼネカ
オンコロジービジネスの覇者、ロシュグループ株は、日本の証券会社経由で購入するのは難しいです。
唯一、サクソバンク証券 だけが取引可能ですね。
オンコロジー領域(免疫チェックポイント阻害剤)の開発状況
上表は国内における免疫チェックポイント阻害剤の開発状況です。
各国で承認取得を目指すグローバル治験(フェーズ3)ということ。
最近では日本独自の臨床試験は時代遅れとなりつつあります。
コストがかかるのですよね。
また医薬品市場における日本の相対的地位が低下しているのも見過ごせません。
それはさておき個人投資家目線でみると、免疫チェックポイント阻害剤を開発している会社はいずれも優良銘柄ばかり。
全部まとめてポートフォリオに組み込みたくなります。
本ブログは米国株投資をメインにしている。
なので日本株はのぞき、5銘柄の開発コンセプトを比べていきましょう。
- BMY ブリストル・マイヤーズスクイブ
- MRK メルク
- RHHBY ロシュホールディングス
- PFE ファイザー
- AZN アストラゼネカ
ヘルスケアセクターの見通し オンコロジー5社の開発戦略を比較
免疫チェックポイント阻害剤の開発戦略を比較すると、3つにセグメントされます。
- 腫瘍免疫療法の併用
- 腫瘍免疫療法+既存治療薬
- 腫瘍免疫療法の単剤治療
投資家から注目度の高い5銘柄が、どのような開発コンセプトをもっているのかをチェックしていきます。
腫瘍免疫療法の併用を開発戦略とする
の2銘柄があてはまる。
ブリストルはオプジーボとヤーボイを有しますし、アストラゼネカも同様に2剤の免疫チェックポイント阻害剤を開発しています。
投資家むけの資料で開発戦略を確認すると
- Next-Wave Pipeline
- Advancing the Science in Oncology
とあり、腫瘍免疫療法のあたらしいパイプラインを拡充する姿勢がみてとれます。
一方のAZN アストラゼネカ投資家向け資料では、2剤併用療法の記載はすくないようです。
腫瘍免疫療法+既存治療薬を見通す
- Comprehensive trial program that includes IO monotherapy and in combination with chemotherapies and small molecules
とあります。
アストラゼネカは免疫チェックポイント阻害剤を2つ保有しており2剤併用でも開発をしています。
それでも今後は腫瘍免疫の併用療法をすすめていくことは無いようにみえます。
いくつかの開発治験でエンドポイントにメットしなかったことが理由でしょうか。
- Establish KEYTRUDA as fundational treatment in monotherapy and in combination
大ヒット商品キイトルーダを中心に、単剤レジメンや他剤との併用療法を戦略軸にすえているとわかります。
ただしポートフォリオをみると、腫瘍免疫療法の併用ではなく既存治療とのコンビネーションが中心となっています。
RHHBY ロシュホールディングス
- Next Generation Sequence(NGS)
- Contribute to oncology through the FMI collaboration
換言すれば、いまあるポートフォリオを、ゲノム情報をもとにしてより効果が高くなる研究をすすめるということ。
ロシュは診断薬もあつかっているので当然といえば当然です。
投資家としては、NGSに期待をしてしまいます。
ロシュ株はADRでも日本国内証券からは投資ができないのが残念ですが。
- Combo with IO and Non-IO
BMY以外の銘柄と同様に、腫瘍免疫療法 ± 非腫瘍免疫 という開発コンセプト。
ファイザーはM&Aが得意なので、投資家としては今後の買収動向にも要注目です。
ヘルスケアセクターの見通しが明るいなら、個別株よりETF投資が良いかもしれない
2024年の医薬品売上高ランキング予想をみると、免疫チェックポイント阻害剤は2つがランクイン。
- キイトルーダ(メルク・MSD)
- オプジーボ(BMY)
それ以外の薬剤は、多くの対象癌腫でフェーズ3の結果が未発表です。
ですからどのくらいの売上インパクトがあるのか、投資家には予想しずらい。
万が一、医薬品開発でネガティブな結果におわれば、即退場となりかねません。
このようにヘルスケアセクターの個別株投資には医薬品開発リスクが存在します。
したがって
- ヘルスケアセクターの見通しは明るい
- でも個別株投資はよくわからない
という個人投資家は、ETFを選ぶといいですね。
>>ヘルスケアセクターETF【VHT】は、米国株投資の優良商品
まとめ:ヘルスケアセクターの見通し オンコロジー5社の開発戦略
腫瘍免疫療法の併用
ただしAZNは併用療法からその他レジメンに舵を切っている模様。
腫瘍免疫療法±化学療法・分子標的薬剤などの非腫瘍免疫
- MRK メルク
- RHHBY ロシュホールディングス
- PFE ファイザー
- AZN アストラゼネカ
RHHBYは、ゲノム情報を活用した治療開発の最先端。
このように各社の開発コンセプトが違います。
今後のヘルスケアセクターへの投資がどうなのか楽しみですね。
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