株価が長期低迷した歴史を知っていますか?
株式投資で避けたいのは、株価相場の長期停滞です。
景気の低迷により、長期投資でも収益が上がらないことだってあるのですから。
本記事では
- 世界各国の株価低迷期間ランキング
- 21世紀の株式市場に、長期低迷はあったのか?
- 個人投資家としてできる、スタグネーションへの対応
について考察したいと思います。
株価が長期停滞していた期間ランキング! 長期投資が報われない時代
上図は、各国の株式実質リターンがマイナスだった最長期間(年)を示しています。
50年以上にわたり、株式投資の実質リターンがマイナスだった国がありました。
- ドイツ
- フランス
- 日本
当時は、株式投資なんてみたくも聞きたくもない、という世の中だったことでしょうね。
こんな投資環境だったら、あなたは株式投資を続けようと思えますか?
もちろん米国株式市場でも、長期停滞の歴史はありました。
1905年~1920年の16年間にわたり実質リターンがマイナスだったのです。
原則右肩上がりの米国株投資であっても、長期低迷を避けることが出来ません。
個人投資家は、こうした長期低迷の事実を知っておいて損はないはず。
長期運用の年数は、過去データを用いて説明されることが多いのですから。
なので長期投資とは何年を指すのかは、人の寿命ではなく、過去のFACTに基づいて試算されているのです。
たとえばジェレミー・シーゲル教授による「株式投資の未来」
17年間の運用では損をすることは無かったとされています。
これは米国株投資のエビデンスです。
また、つみたてNISAでは20年間の非課税期間が設定されています。
長期・分散・積立投資のエビデンスを基にしています。
このように主要国においてでさえ、株式投資で長期低迷による運用リターンマイナスだった時代がありました。
過去が未来を映すわけではありません。
しかし、歴史は同じようには繰り返さないが、韻を踏むのです。
なので今後、同じような株式相場が発生しないとは言い切れません。
ですから投資家は、株価の長期低迷リスクを想定しておく必要があるでしょう。
50年の長期低迷なんて勘弁してほしいですけどね。
ではスタグネーション・長期低迷時は、どのくらいの投資収益だったのでしょうか。
ここからは、国別の実質リターンを比較していきます。
株式投資の実質リターンがマイナスだった期間と収益
国・西暦 | 年数 (年) | 実質リターン (%) |
米 1905‐20 | 16 | -8 |
英 1900‐21 | 22 | -4 |
世界 1910-31 | 22 | -19 |
日 1900‐50 | 51 | -3 |
仏 1929‐82 | 54 | -1 |
独 1900-54 | 55 | -8 |
20世紀の前半は、世界的にみて株式投資の実質リターンは低迷していました。
世界恐慌や二つの世界大戦による影響があるのでしょう。
いまの生活や株式投資環境がどれだけ恵まれているのかを分からせてくれる事実です。
フランスの株式市場に目を転じると、1929年~82年にわたり長期停滞していました。

フランス
55年間で、実質リターンは-8%
この時代、フランスから他国の株式に投資できる機会は限定的だったことでしょう。
ですからフランス人投資家の運用成績は目も当てられないものだったと推察されます。
当時のフランス人に、株式投資へ心構えを聞いてみたいものです。
いずれにせよ、多くの国で長期間にわたり実質リターンがマイナスとなった時期がありました。
リーマンショックのような大暴落ではなく、長期に株価が停滞してしまう事象。
長期運用をしても、株式投資で損をする可能性があるのです。
このようなリスクは知っておいてよいでしょう。

21世紀の米国株や日本株でも、株価低迷・長期停滞は発生している
- 米国株価指数NASDAQは、2000年につけた最高値更新に15年を要した
- 日本株の最高値は、30年ちかく更新されていない
米国株のNASDAQは、インターネットバブル時の最高値を更新するのに15年間かかった

NASDAQの株価チャート
上図は、米国株価指数NASDAQの長期チャート。
株価が長く低迷したのは、20世紀だけのことではありません。
21世紀にはいっても、株価の長期低迷が発生していたのです。
2000年のインターネットバブル時につけたNASDAQ最高値は、その後15年もの間、更新されることはありませんでした。
リーマンショック以降、絶好調であるNASDAQ。
それ以前の株価は長期低迷していたのです。
これは今世紀に入ってからの出来事。
2019年時点での米国株式市場は絶好調です。
とくにリーマンショック以降、NASDAQの株価上昇率は目を見張るものがあります。
ただしそのNASDAQだって、ドットコムバブル時の最高値を超えるまでには長い年月を要していたことは覚えておきたいですね。
日本市場の株価は長期停滞し、最高値更新に至っていない
日本株市場に目を向けると、1989年につけた最高値更新は30年近くも成し遂げられていません。
株価低迷・長期停滞の一例ではないでしょうか。
まさに失われた30年。
これからの日本はどうなってしまうのか、と不安にさせるのには十分な現実です。
このように21世紀になってからも株価の長期低迷といえるフェーズが存在しています。
あなたの身近な、米国株や日本株においてですよ。
ですから個人投資家だって、長期低迷リスクは想定しておきたいですよね。
株価暴落だけではなく、長期停滞リスクも想定しておきたい

リスクマネジメントプラン
未来のことはだれにもわかりません。
しかし過去の情報を参考にすることは可能です。
そしてリスクマネジメントの立て方には、一定の法則が存在します。
まずは株式投資にどういった可能性があるのか、その歴史を把握することが良いでしょう。
- 1900年代から続く、数十年にわたる株式投資の実質リターンの低迷
- 2000年以降に発生した、米国株NASDAQや日本株式の長期停滞
こうした株式市場の歴史を知ると、今後、長期停滞がおきないとは言い切れません。
その可能性がどの程度あるのか、個人投資家自身ひとりひとりが考えてみるのはどうでしょうか。
長期低迷という可能性。
そして長期運用と共に、人間は年齢を重ねます。
ですからライフプランのひとつとして、どのように株式市場と付き合っていくのかを検討していきたいですね。
以上、世界各国の株価低迷期間ランキングでした。
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