米国株の投資方法のひとつに、配当金戦略があります。
そして配当金投資は、主に2つに分けられます。
- 高配当戦略
- 配当成長戦略
いずれの投資戦略でも主目的は配当金です。
なので配当金が減るリスクは避けたいですよね。
そんなわけで本記事では、減配の可能性を減らしていく3つのチェックポイントを紹介します。
米国株の連続増配年は良い参考値となる:配当金支払い状況を確認しよう
アメリカ企業は、株主に対し配当金に関するコミットメントをすることが多いです。
とくにこれまで長い間増配を繰り返してきた銘柄はその傾向が顕著。
だとすれば、過去の配当金支払い状況を確認することが、減配リスク軽減につながるのではないでしょうか。
具体的には、連続増配年数を調べてみることが有用です。
たとえば米国株では、25年以上連続増配している銘柄数が100を超えています。
その中でも大型株の50銘柄は、配当貴族インデックスに組み入れられています。
こうしたアメリカ株に投資をすれば、減配の可能性が少なくなります。
ただし注意点がある。
それは、過去が未来を保証しないことです。
つまり、これまで何十年も連続増配をしてきた銘柄に投資をしたとしても、配当金支払いが減額される可能性はゼロにはなりません。
ここで、1990年代を振り返ってみましょう。
1991年時点では、25年以上連続増配している米国株数は38でした。
この38のアメリカ株がその後の25年間、配当金を増やし続けていたらどうなるでしょうか?
2016年には50年連続増配株が、38銘柄となっているはずです。
ところが2016年時点で配当王(50年族増配)銘柄数は、18のみでした。
つまり25年連続増配をしていても、半数近くの企業が50年連続への道半ばで増配記録をストップしてしまうのです。
過去が未来を保証しないことの例ですね。
- 1991年25年連続増配銘柄数:38
- 2016年配当王銘柄数 :18
- 継続率:47%
もちろん連続増配年数は配当金投資に有用な数値です。
しかし過去はあくまでも過去でしかないことは覚えておきましょう。
配当性向は、増配の余力をチェックするのに有用
米国株にしろ日本株にしろ、配当金投資をする際には配当性向を確認するのが有用です。
- 配当性向(%)=1株当たりの配当額÷1株当たりの当期純利益×100
配当性向とは、会社が1年間で儲けたお金からどれだけ配当金として株主に還元しているかを見ることができる数値です。
配当金額から企業を評価する指標としては、配当性向の他に、配当利回りなどがあります。
企業側からみると、配当性向が高ければ高いほど、利益を配当金として支払っていることになります。
利益があがらなければ、配当金を支払い続けるのは困難ですよね。
したがい高配当性向な銘柄は、未来の増配余力が少ない事を示唆します。
さらにいえば、減配リスクを把握する指標ともなり得ます。
ですから、米国個別株で配当成長投資をするなら、配当性向が60%を目安とすることが多いようです。
しかし、ワイドモートな企業はこの限りではありません。
たとえば、米国の配当株の雄、アルトリア・グループ【MO】。
アルトリアは、配当性向80%をうたっています。
アルトリアのようなタバコ企業は、設備投資に多くのお金をかけなくてもビジネスが成り立ちます。
製品開発費が少ないからです。
このように安定したビジネスモデル・利益の源泉を有する企業は、高い配当性向となっても増配余地が残っている場合もあります。
(最近では、タバコビジネス自体が減退気味ですが、、、)
利益が配当金の源泉なので、EPS成長率を見てみる
配当金がどうだとか、ビジネスモデルがどうだとかといっても、結局は利益の有無や成長率が大切です。
ですから一株当たりの利益(EPS)成長率は、要チェック。
EPSが上昇し続けている銘柄ならば、配当金支払いを減額する可能性は低いです。
- 配当性向(%)=1株当たりの配当額(DPS)÷1株当たりの当期純利益(EPS)×100
の式をみれば、EPSの重要性がわかります。
利益が増えずに、配当金を増やしていれば、配当性向(%)が上昇します。
逆にEPSが伸びていれば、配当額も伸びていくことが通常です。
低い配当利回りでも利益の成長率が高い企業への投資は、未来の高増配率を期待することができます。
このように利益の成長率は、未来の配当金支払いを予測するのに役立ちます。
株式投資でEPSは大切な数値ですが、減配リスクを察知する際にも有用です。
ビジネスモデルがやっぱり大事
近年の主な米国株の減配といえば、キンダーモルガン【KMI】やゼネラルエレクトリック【GE】が思い浮かびます。
さらにヘルスケアセクターのファイザーだって、過去に減配をしています。
減配リスクの大小は、個別銘柄だけの事情では決まりません。
すなわち政治、経済、社会、テクノロジーといった外部環境も、減配リスクに関与します。
たとえば2018年11月のFDAによる、メンソールたばこ禁止への言及を思い出しますね。
この時には、ブリティッシュアメリカンタバコ【BTI】の株価が大きく下がりました。
そして投資家間には、配当金が維持されるかどうかという心配が駆け巡りました。
このブリティッシュアメリカンタバコの例は、米国FDAのアナウンスメントが発端です。
いわゆる規制リスク。
ですから最終的には、内部・外部環境をふくめたビジネスモデルを注視することが大切だということですね。
こうしてみると、米国株での減配リスクを避ける方法はあるものの、投資に絶対は存在しないのだと気づかされます。
今回紹介したように、配当成長投資では、配当金に関する指標を参考に投資行動を選択することがよいと思います。
いずれにせよ個別株投資をする際には、自分で納得した上で資金投下をしたいですね。
以上、「米国株での配当成長投資に必須の3つのポイント」でした。
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