【書評】「資産を作るための株式投資 資産を遺すための株式投資」を購読した理由
「資産を作るための株式投資 資産を遺すための株式投資」の読書感想を書きます。
本書は、以下のような人にはとくにおすすめできる投資本です。
- 中長期運用の投資家
- 投資目標・目的がない投資家
- 家族持ちの投資家
まずは、私が本書を購読した理由を紹介します。
「資産を作るための株式投資 資産を遺すための株式投資」の購入理由
長期投資家が、死に直面したらどんな行動をとるのだろうか?
個人投資家が死に直面した際の、考え方と行動の選択を知りたかったのです。
とくに家族がいる場合、自分の資産をどのように遺していくのか、どのように家族に伝えていくのかに興味がありました。
著者;石川臨太郎さんとは?
石川臨太郎さんは、個人投資家です。
中長期目線のバリュー投資を実践されていたそうです。
2003年ごろ、パンローリングで著書『年収300万円を月収300万円に変える投資戦略』などを出しました。
しかし本書が出版された時、すでに臨太郎さんは他界されていました。
末期のすい臓がんだったとのこと。
ですから本書の副題には、「余命宣告を受けたバリュー投資家の人生の最後の教え」とあるのです。
ここからは、本書の概要を紹介します。
共に、臨太郎さんの生きた証を感じ取っていきましょう。
「資産を作るための株式投資 資産を遺すための株式投資」のまとめ!書いてある内容
本書は、3つの話から構成されています。
- 第一部;資産を作るための株式投資
- 第二部;資産を残すための株式投資(資産運用)
- 第三部;これからの世代に書き残しておきたいこと
ネタバレにならないよう、概要を抽出し感想と共に述べていきます。
資産を作るための投資
本書の冒頭では、株式投資や株価とは何なのかを紹介しています。
その後、長期投資に向いている銘柄選びの方法へと話しが展開されていきます。
すなわち、「生涯パートナー銘柄」の選び方についての話とも言えます。
ここで登場するのが、企業の解散価値に注目した「中長期目線のバリュー投資」
実際の日本株を例にだし紹介しています。
バリュー投資をより身近に感じることが可能ではないでしょか。
さらには、
- なぜ、バリュー投資を選んだのか?
- 数十年におよぶ経験を背景にした株式投資への取り組み姿勢
を学ぶことが出来ます。
長期投資家には、必見の心構えが掲載されていますよ。
投資目標は高く、かつ実現可能に
資産運用では目標をできるだけ高く掲げることをおすすめしています。
大きな夢やビジョンがあってこその資産運用。
なぜ投資をするのか、その原点を自己認識することを説いています。
また、目標は長期だけではなく短期目標の設定を推奨しています。
短期目標を達成し、中長期投資へとつなげていく。
もっと上を目指して前進をやめないしつこさや、向上心を持ち続けることが成長の秘訣だとしているのです。
長期目標に短期のマイルストンを設定し、日々の行動に落とし込んでいく具体例はとても参考になります。
超二流の投資力で十分(誰にでもできる投資の重要性)
不動産投資で10億円を稼いだり、短期間のうちに株式投資で億り人の仲間入りすることは、一流の投資力が求められます。
ところが多くの個人投資家は、一流の投資スキルを身につけていません。
そこで臨太郎さんは、圧倒的な才能がなくても結果を出せる投資方法を実践し本書で啓発しています。
それが中長期目線のバリュー投資。
本書の中で、バリュー投資に必要な力を「超二流の投資力」と呼んでいます。
これはストレスを感じることなく、時間を味方にして資産を作っていくことができる投資手法。
株式市場から退場するリスクを極力排除し、投資継続に力点をおいた方法です。
安寧な生活を送りつつ株式投資を継続することは私の理想なので、非常に参考になりました。
◆見るべき指標が限られている(数が少ない)
中長期目線のバリュー投資では、見るべき指標が決められています。
主なものを上げると以下になります。
- 収益のバリュー;PER(修正PER)&PBR&ネットキャッシュ比率(簿価&時価)
- 財務のバリュー;自己資本比率&流動比率&固定比率
- 事業価値のバリュー;平均経常利益の5倍を確認&定性分析
臨太郎さんは数ある指標の中から、キャッシュに着目したバリュー投資を実践されていたのだと推察できます。
株式投資で増やした資金を別の投資で増やす
かつて臨太郎さんは、株式投資で儲けた利益を、不動産投資へと活用していたそうです。
アセットの分散ですね。
他方で、不動産からの家賃収入が低下傾向であることを背景に、本書の中では、インフラファンドへの投資を紹介しています。
私自身も、不動産投資をしていた際に家賃収入の低下を経験したことがあります。
このような実体験からくるお話しには納得させられました。
また、管理の面や、資産を残すという意味から、実物不動産を売却したお話しもまた考えさせられるものがあります。
株式だけではなく実物資産へ分散投資をしている人には、必読の内容です。
資産を作るための株式投資のまとめ
- 投資目的をふまえ、目標は高く設定する
- 一流ではなく超二流でも可能な、だれでもできる投資法を心掛ける
- 見るべき指標は少ないので、個別株投資をする際には必見
- 株式投資で増やしたお金は、他資産へ分散投資をしてみる
以上が、資産を作る投資の概要です。
つづいては、資産を遺すための株式投資について述べられています。
資産を遺すための投資
個人投資家の死後、愛する家族が困らないようにするためには、上手に資産を遺す必要があります。
残された家族が、投資や資産運用に精通していれば問題はありません。
しかしながらそうではない場合には、資産を残すための投資法は、考えておく必要がありますし、生前に済ませておくことが家族の為となるでしょう。
本書では、資産を遺すための投資法の具体例が紹介されているので、非常に参考となります。
資産管理法人を清算しておく
実物不動産投資であったり、資産管理法人の決算であったりは、意外と手間がかかるものです。
臨太郎さんの奥様は、こうした処理をひとりで実施するのは困難であると言いました。
ですので余命宣告を受けた後、臨太郎さんは不動産の売却や資産管理法人の清算をしたそうです。
妻子ある個人投資家は、保有する資産への手間が家族にどれほど受け入れられるのかを確認しておくことが良いと感じました。
10年持っていられるような世界トップ企業に投資する
資産を遺す場合、わかりやすい銘柄への投資が適切です。
たとえば投資のわからない人が持ちっぱなしにしても大丈夫なような、世界トップ企業(世界ナンバー1、あるいは、世界ナンバー2)に投資しておく話を紹介しています。
すべて日本株の紹介。
資産を遺すという意味では、為替がつきまとう米国株よりも、日本株の方が適切なのかもしれません。
保険について考えておく
臨太郎さんは、「最低でも、がん保険には入っておいた方がよい」という話を紹介しています。
二人に一人はがんになる時代。
運用資産とは異なり、がん保険の保険金は、家族旅行などに使いやすい利点が浮かび上がります。
本書内の、がん保険加入をおすすめする理由を読むと、人生の全体最適が必要だと痛感させられます。
遺言書の書き方
遺言状は公正証書によるものが最適です。
法定相続人の考え方や、家族の為に遺す財産が本当の家族にきちんとわたるように配慮されているからです。
資産を遺すための株式投資のまとめ
- 遺された家族でも業務対応が可能なように、法人は清算しておく
- 株式投資では、10年保有が可能な世界トップ企業へ投資にする
- 2人に1人はがんになるので、がん保険は入っておいた方が良い
- 公正証書で遺言状を書いておく
「資産を作るための株式投資 資産を遺すための株式投資」を読んで感じた3つのこと
本書を読み、感じ入るところは多数ありました。
その中から3つ挙げると
- 分かりやすい投資をしていきたい
- 健康に生んでくれた親に感謝
- 株式投資は永続可能だが、命は限定的なので「いま」を大切に
ひとつずつ、読書感想を記録しておきます。
資産を遺すためには、わかりやすい投資をしていきたい
私は人生をハッピーにするための補助として、投資をしています。
しかし何十億円もの大金を求めているわけではありません。
ささやかな幸せを感じることが出来ればそれで十分なのです。
投資目的を振り返ると、複雑ではなく誰でもできる簡単な投資方法が心地良いと感じるようになりました。
自分と家族にとって「分かりやすい投資」とは何か、改めて見直したいと思いましたね。
実際に投資して感じる、3,000万円の運用方法のまとめ
- お金がパーになってしまう投資をしない
- 投資したお金にたくさんの金の卵を産んでもらう
- 分かりやすく、ゲーム感覚で運用できるものを選ぶ
健康に生んでくれた両親に感謝
健康は何にも代えがたい資産です。
そうすると、すくなくとも家族みんなに感謝感謝。
- 私を健康に生んでくれた両親
- 妻を健康に生み、私にめぐり合わせれくれた義理の両親
- 子ども達を健康に生み、ともに育ててくれている妻
- 今のところ健やかに大きくなっている子ども達
人は必ず死にます。
いつ死がやってくるのかが見えないだけ。
今日かもしれないし、来年かもしれないし、50年以上先かもしれない。
健康体で、投資に向き合えるいまの状態をありがたく受け止めましょう。
「死」のリスクを受け止め、「いま」を充実させること
健康問題が顕在化すれば、投資なんて二の次となるはずです。
そして死んでしまえば、取引注文はできません。
そうしてみると、「いま」投資ができること、そして投資以外のことだってできることのありがたみが浮かび上がります。
未来への準備のために投資をしているわけですが、いまを楽しく充実させて生きていくことを疎かにしてはいけません。
「資産を作るための株式投資 資産を遺すための株式投資」をおすすめしたい人
本書は、以下のような人にはとくにおすすめできる投資本です。
- 中長期運用の投資家
- 投資目標・目的がない投資家
- 家族持ちの投資家
世の中に資産を作るための投資本は数多くあれど、資産を遺すための書籍は少ないです。
これから資産を遺す可能性がある人は、本書の内容はかなり参考になります。
- 第一部;資産を作るための株式投資
- 第二部;資産を残すための株式投資(資産運用)
- 第三部;これからの世代が投資をする上で知っておくべきこと
本書の副題は「余命宣告を受けたバリュー投資家の人生の最後の教え」
その考え方と実体験を、「資産を作るための株式投資 資産を遺すための株式投資」から読み解くことができるのです。
とくに家族をもっている個人投資家は、本書に目を通しておくことをおすすめします。
資産を遺す株式投資を学び取ることができるのですから。
石川臨太郎さんの安らかな眠りをお祈りするとともに、天国向かって「人生最後の教えをありがとう」と伝えたいと思います。
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