老後資金の4%ルールは、もはや通用しない
引退後の資産取り崩し戦略。
4%ルールが通用しない時代に突入しています。
債券の実質リターンが低下しているからです。
4%ルールとは、1926年から30年の米国過去平均データを使用した結果。
インフレ調整後の資産取り崩し率を4%とすれば、30年間にわたり退職者が生活を維持できるというもの。
その推定失敗確率は6%とされていました。
逆算すれば、年間支出額の25倍の資産がメルクマールとなります。
4%ルールにより、30年間は貯蓄が底をつくことなく引き出し続けることができるのです。
しかし実質リターンが低下すると、この控えめな予測失敗率が急激に上昇します。
今後、このシナリオは通用しません。
米国債券の実質リターンが低下しているからです。
米国のレポートを用いて、少し深堀してみます。
債券の実質リターン低下により、4%ルールによる資産取り崩しは成功確率が下がっている
債券利回り低下によって、4%ルールの失敗確率が57%に跳ね上がった
米国債券の利回りは、過去平均よりも4%以上低くなっています。
これは2013年1月のデータを用いた結果。
5年物のインフレ調整国債利回りで調整すると、4%ルールの失敗確率が57%に跳ね上がります。
4%ルールとは、低金利環境では安全な資産取り崩し率とはなり得ないのです。
では、4%ルールの資産引き出し率と、株式比率を変化させて、比較するとどのような結果となるのでしょうか。
資産の3%取り崩しでも、30年間は生き残れない?
株式のリスクプレムアムは過去データを用い、債券利回りを-1.4%とした場合のシミュレーション結果です。
株式100%のアセットアロケーションであっても、30年間の貯蓄維持は難しそうです。
株式100%での資産取り崩し率別の失敗確率
- 6%ルール:70%
- 5%ルール:57%
- 4%ルール:40%
- 3%ルール:23%
たとえ3%の資産取り崩しで、その失敗確率は20%を超えてきます。
米国では、金融資産の実質リターン低下により、老後資金への懸念が高まっているようです。
こうしたアメリカの報告をうけ、日本における退職後生活はどのようにしたらよいのでしょうか。
やはり老後でも稼ぐ術を身につけておくことが大切な時代だと感じます。
退職後の資産取り崩し;資産配分比率だけではなく、収入確保が必要
かつて4%ルールは、米国の退職者に広く受け入れられてきました。
しかし低金利政策の中にあっては、この試算は成り立ちません。
老後生活者は、不安定なポートフォリオに頼るよりも、その他の老後資金戦略に取り組んだ方が良さそうです。
この状況は米国でも日本でも大きくは変わらないでしょう。
だとしたら、老後でも稼ぐことができる力を身につけておいた方が良さそうです。
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