イーライリリー【LLY】とは
イーライリリーは、1876年に創業。140年を超える歴史がある米国製薬大手です。
米国インディアナ州インディアナポリスに本社を置き、世界120ヵ国以上で事業を展開しています。
製薬企業の世界売上高ランキングではベスト10前後。
時価総額ランキングでも同様。
日本国内でも2018年にベスト10入りを成し遂げている医薬品企業です。
>>ヘルスケアセクター時価総額ランキングトップ16【2017年3月】
イーライリリーは糖尿病、中心神経、がん、骨粗しょう症、このあたりの疾患に主力製品を有しています。
しかし最近ではメガヒット商品を有してはいない。
2024年の医薬品売上ランキング予測をみてもわかります。
アップルやアッビィのように、メガヒット商品ひとつにささえられた売上構成というわけではありません。
イーライリリー【LLY】の売上高構成割合(国別)
上表はイーライリリーの国別売上高構成比率を示しています。
50%程度を米国の製薬ビジネスで稼いでいる。
日本の割合もそれなりにあり、製薬のうち11.8%を占めています。
- 製薬・合計:19,785.7 MM USD
- 製薬・日本:2,339.5 MM USD
これは後述する、胃がん治療薬のサイラムザ(ラムシルマブ)によるところが大きいです。
イーライリリー【LLY】の主力製品は力強い成長
かつてはジプレキサやプロザックといったメガヒット商品を有していたイーライリリー。
最近では商品構成が大きく変わってきています。
医薬品にはパテントがあり、特許が切れれば売上減少は著しいです。
日本では後発品の攻勢がまだまだ緩やかですが、米国では保険会社が黙っていません。
医薬品売上市場の3~4割を米国が占めているのが現状。
パテントクリフと呼ばれる特許切れリスクは、米国で売上を稼ぐ医薬品企業には死活問題なのです。
そんな中、イーライリリーは新たなポートフォリオをしっかり構築している。
その甲斐あって、売上高は維持されています。
イーライリリーの新薬売り上げ推移
水色のサイラムザ(ラムシルマブ)がしっかりと売り上げを維持しつつ、
紫色のトルリシティ(デュラグルチド)で大きく伸長する、
その他新薬も順調に伸びている、
といったところ。
ちなみにサイラムザの売上の半分近くが、日本からのもの。
下図の右側がサイラムザの国別売上高推移。
赤棒グラフが、本国内売上を示しています。
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イーライリリー【LLY】の株価チャート(直近10カ月)
ヘルスケアセクターというのはディフェンシブといわれます。
景気循環に左右されにくいビジネスモデルだからです。
しかしながらその実情は、特許切れや副作用問題など、規制当局リスクを抱えている。
となると、何かのニュースをきっかけに株価が大幅下落することだってあるでしょう。
そういった際にヘルスケアセクターのブルーチップを拾う事ができたら、最高ですね。
イーライリリーも医薬品企業のブルーチップであることは間違いありません。
イーライリリー、LLYの売上高と利益率
青色の売上高をみると、LLYの売上は横ばい。
しっかりと維持しているとわかります。
ジプレキサなどの主力製品パテント失効にもまけず、新薬で売上を補っています。
イーライリリーのキャッシュフロー
2012年に特許切れが発生したジプレキサ。
その年以降、13年12月にセロトニン・ノルアドレナリン再取り込み阻害薬(SSRI)のサインバルタ、14年3月に骨粗鬆症治療薬エビスタがそれぞれ米国で特許が失効しました。
その影響もあり、営業キャッシュフローに下降傾向がみられています。
それでも2016年から見事に復活しているところはさすが。
イーライリリー、LLYの配当金推移
イーライリリーは配当貴族ではありません。
連続増配年数だって5年にも満たない。
とはいえ100年以上も前から配当金はしっかりと支払い続けています。
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LLYに投資する際のリスク
製薬会社への投資リスクと同様。
- 新薬開発の失敗
- 保険償還の見直し
- 薬価引き下げ
また、2022年にアリムタ(ペメドレキセド)特許切れリスクを抱えています。
糖尿病治療薬の競合であるノボノルディスクのGLP-1受容体作動薬が、リリーのトルリシティ(デュラグルチド)へどのくらい侵食するのかも注意が必要です。
イーライリリー【LLY】に対する私見
イーライリリーは、投資対象としてのメリットを有しています。
- ディフェンシブなヘルスケアセクター
- ほどよく分散された医薬品ポートフォリオを有する
- 配当金は100年以上も支払い続けている
とはいえ、ヘルスケアセクターの個別株投資に一歩踏み出せない人もいるかもしれません。
そんなときにはETFが便利ですね。
>>ヘルスケアセクターETF【VHT】は、米国株投資の優良商品
著者はLLY株を保有していません。この記事は自分自身の備忘録として記述したもので、読者に株のLLY投資を推奨することを目的として書いていません。投資判断はご自身で行ってください。
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