米食品医薬品局(FDA)はたばこのニコチン含有量を「中毒性のない」水準まで減らすよう義務付ける規制を提案したと報道された。
このニュースにより、アメリカのタバコ市場シェアが高いアルトリアグループMOやブリティッシュ・アメリカン・タバコBTIの株価は一時10%近く下落した。これは通常のたばこに比べ、健康被害が小さい可能性のある電子たばこへの移行を促す大きな政策転換となる。
つまり電子タバコがFDAの有害物質問題をクリアできるかどうかが、今後のタバコセクターのカギを握る。
タバコ関連銘柄の今後のリターンを占う上で、電子タバコと規制当局のニュースは要注目だ。
とはいえ電子タバコのFDAによる審査状況はわからない。そこで今回はタバコ業界の現状と、煙草の健康リスクについておさらいしておく。
それがタバコ銘柄へ投資リターンに繋がるであろうから。
タバコの世界市場
タバコの世界売上高は、約700億ドルである。日本円にすると約7兆~8兆円といった所だ。
本数にすると5.5兆本以上のタバコが喫煙者に届けられている。
しかしながら2012年以降、タバコの売上数量は減っている。
一方のタバコの売上高は増加を続けている。
タバコ業界にもアナリストがいるらしく、彼らによると世界のタバコセクターはまだまだ成長を続けると予想されている。
タバコ銘柄への投資はリターンが期待されているのだ。
なぜかというと値上げがタバコ企業の売上高を押し上げるからである。
タバコ銘柄がワイドモートであると認定される理由がここに垣間見える。
タバコの地域別市場シェア
過去10年間で、アジア・パシフィックが過半数を占めている。
これは中国のタバコ市場が大きいことを意味する。
アメリカを含む北米のタバコ市場シェアをみると、わずか5%である。
たばこ株に目を向けてみよう。フィリップモリスの分社化後、アルトリアグループMOは、アメリカだけを対象にした企業となっている。
アルトリアグループは生粋のアメリカ企業であるが、世界最大のタバコメーカーではないことは市場規模をみればわかる。
タバコ銘柄に投資をする際には、アメリカが最大市場ではないと知っておきたい。
タバコメーカーランキング
タバコ市場はアジア・パシフィックが大きい。
それが故に中国のたばこメーカーが世界一となっている。
第二位のフィリップモリスPMの約3倍の規模である。
日本たばこ産業JTは第4位と健闘しており、日本のタバコ税徴収に貢献している。
税収におけるたばこ税の割合をみると、日本では2%を記録しているのだ。
それにしてもタバコセクター銘柄とは優良株ばかりがならんでいる。
タバコの健康リスク
The tabacco atlasを参考に、日本人におけるタバコの健康被害・リスクを紹介する。
日本のタバコに起因する病気による死亡者数(2010年)
161,000人以上
男女別の、タバコが起因する病気で亡くなる割合
- 男性:18.4%
- 女性:7.2%
日本人の喫煙率(2013年)
- 男性:35.5%
- 女性:11.2%
喫煙率を先進諸国と比較すると、男性は高い、女性は低いというのが日本のスモーカーの特徴である。
タバコに起因する病気による死亡者割合の日米比較(2010年)
日本 | 米国 | |
男性 | 18.4% | 19.2% |
女性 | 7.2% | 15.8% |
米食品医薬品局(FDA)がタバコの健康被害を懸念し規制を設けるというならば、日本の厚生労働省やPMDAも同様のタバコ規制を検討するかもしれない。
そう思わせるデータである。
日本のタバコ銘柄、JTなどに投資をする際には国内規制当局の動向は注目しておきたい。
喫煙率の日米比較(2013年)
日本 | 米国 | |
男性 | 35.5% | 17.2% |
女性 | 11.2% | 14.2% |
日本における喫煙率の性差が大きいことが分かる。
また、アメリカ人男性の喫煙率は、日本人の半分以下となっている。
アメリカではスモーカーは既にマイナーな存在となっているのだろう。
タバコ銘柄でアメリカ市場に特化しているアルトリアグループMOの売上・利益や株価の動向を注視する必要がありそうだ。
タバコ業界と、たばこの健康被害リスクのまとめ
タバコの世界売上市場は今後も増加すると予想されている。
しかしながら売上数量は減少に転じている。
地域別でみると、大規模な市場はアジア・パシフィックにある。
FDAが規制をするように、たばこは少なからず健康被害リスクを有する。
タバコはクサいだけでなく害なんだよ
個人的には
- タバコ:大嫌い
- タバコ吸っている人:あんまり好きではない
- タバコ銘柄:結構好き
- タバコ銘柄からの配当金:めっちゃ好き
いずれにせよタバコセクターに投資をする際には規制当局の動向はもちろんであるが、自身の健康にも留意しつつヘルスケアセクターへの投資も合わて実施しておくのが良い。
See you!
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