ワイドモート株に投資することは良好なリターンに繋がると言われています。
そもそもWide Moatとは何なのでしょうか?
ワイドモート株とは?
- 無形資産
- 顧客の乗換コスト
- ネットワーク効果
- コストの優位性
たとえばモーニングスター社では米国株をMoatがWideだとか、Narrowであるとかいう評価をしています。
それぞれの単語を辞書で調べると以下の答えが見つかります。
Wideとは、
幅の広い、幅広の、幅が…の、(面積が)広い、広大な、広々とした、(範囲の)広い、広汎な、多方面の、大きく開いた
Moatとは
(都市・城壁の周囲に掘られた)堀
つまり、Wide moatとは「競走上の優位性」とか「経済的な堀」を意味するわけです。
米国株投資に興味をもった投資家ならば、一度は気にしたことがあるでしょう。
本記事では、ワイドモートとはいったい何だろう?ということを一緒に考えていきましょう。
- モーニングスター社の考えるワイドモート
- 千年投資の公理 から引用したワイドモート
米国株のワイドモートとは、堀か、罠か?
ワイドモートを考える際、ビジネスのフレームワークで使用される5F分析を使うとわかりやすいです。
優位性を有する事業内容ならば、ワイドモートといえます。
米国株投資でいわれるワイドモートとは
- 素晴らしい製品
- 大きなマーケットシェア
- 無駄のない業務プロセス
- 優れた経営者
があげられます。
ワイドモートとは単純に評価できるものではない
大きなマーケットシェアを誇る企業を即座にワイドモートといえるのでしょうか。
ワイドモートとはそんな単純な話ではないのです。
肝心なのは
- シェアをどのように獲得したのか?
という点。
シェア獲得の過程が分かれば、現在の支配的な地位をどの程度守れるのか、洞察が可能となります。
逆の場合を考えてみると分かりやすいです。
たとえば難解ではないプロセスで大きなシェアを獲得している企業があるとします。
競合他社が参入したらすぐに置き換わる可能性もあるということを示唆しています。
参入障壁が高いということがワイドモートに繋がるわけですね。
優れた経営者についても同様です。
スーパースターのCEOを雇い、時価総額が急上昇することは稀なこと。
優れた経営者であれば数年後には他社に移っているでしょう。
だれでも経営できるビジネスモデルの重要性を思い出します。
大手製薬会社にみる、ワイドモートの例
ヘルスケアセクターを例に、ワイドモートをみていきましょう。
医薬品開発には大きなリスクが存在します。
不確実性が大きいという事です。VUCAワールドですね。
そして医薬品の臨床開発には莫大なコストと時間がかかります。
有力な化合物を発見できたとしても、大規模な臨床試験を実施し規制当局から承認をうけないと医薬品として販売できません。
ベンチャー企業には、このプロセスを経るだけの時間と資金がありません。
医薬品開発には参入障壁があるのです。
大手製薬メーカーのワイドモートはここに帰結します。
つづいてはモーニングスター社がどのようにワイドモートを判定しているのかを紹介します。
モーニングスター社のワイドモート
モーニングスター社では、この4分野で堀の大部分をカバーしていると考えています。
ブランド、特許、行政などの無形資産を持つ企業は、ライバル企業がかなわない製品やサービスを提供可能
販売している製品やサービスが顧客にとって手放しがたいものかどうかが重要
乗り換えコストが少しでも余計にかかれば顧客離れを防ぎ、価格決定力を顧客ではなく企業に与える
ネットワーク経済の恩恵をうける企業には、長期ライバルを締め出すことが可能となる経済的な堀がある
生産過程や場所、規模、独自アクセスによって、製品やサービスをライバルよりも安い価格で提供できる企業は、コスト上の優位性がある
簡単にいえば
- 無形資産
- 顧客の乗換コスト
- ネットワーク効果
- コストの優位性
これらをもつ企業がワイドモート株となります。
ちなみにモーニングスター・ワイド・モート・フォーカス・インデックスに連動するETFのティッカーは”MOAT”
ワイドモート株が気になる際には、米国株ETFであるMOATを調べてみるといいですよ。
模範的な投資行動とワイドモート株の関連性
ここで、バリュー投資家の模範的な投資行動を思い出してみます。
模範的な投資行動
- 長期にわたって平均以上の利益をあげることが出来る企業を探す
- その企業の株価が本質的価値より安くなるまで待ってから買う
- 企業価値が低下するか、株価が割高になるか、更に優れた投資先が見つかるまでその銘柄を保有する。保有期間は月単位というより年単位で考える
- この手順を必要に応じて繰り返す
優れた投資先は、ワイドモートを有しています。
ワイドモートへの投資は、模範的な投資となります。
個別株投資やバリュー株投資をする際には、ワイドモート株を見極めることが大切です。
ワイドモートを維持するのは大変だ
そもそも経済的な堀とは過去・現在を参照しての未来予測に過ぎません。
われわれ人類は今後さらなる発展を遂げるでしょう。
発展とは既存製品の破壊を伴います。
例えば1990年代に、アップルやiPhoneの台頭を予測できた人がどれだけいたでしょうか。
2000年初頭のYahoo全盛時代に、Googleがここまで大きくなると気づいていましたか?
2000年時点でAmazon.comが小売業界を席巻するだろうと予想し投資をした人はいますか?
私は全く気づけませんでした。
今を知った上で過去を振り返れば、至極当たり前だと感じます。
ところが、その当時に未来が予測できて、なおかつ投資活動に結びつけられた人はほとんどいないはず。
歴史は繰り返す。
いまワイドモートだと思っている産業や企業。
5年後・10年後も同様にワイドモートであり続けるとは言い切れません。
経済的な堀を維持するのは、予想外に困難です。
その障壁を乗り越えられるのがワイドモート株なのでしょうがね。
ワイドモートを知った上での、米国株投資のやり方
資産運用をする際、地球や人類の発展に賭けてインデックスへ資金投下しているのならば問題ありません。
資本主義社会であり世界経済が成長し続ける限り、株式投資で報われる可能性が高い。
一方で個別銘柄に投資をする場合はどうでしょうか?
米国株投資ではワイドモート株を選びたいです。
とはいえそれがなかなかに難しい。
上述の通り、自社のみならず市場・競合による環境変化が著しく評価が困難なのです。
革新的な技術や企業が参入するかもしれません。
しかしそこからワイドモートを有する銘柄に投資をすることができたら、将来のリターンは優れたものとなるでしょう。
米国株投資のワイドモートについての、おすすめ投資本
千年投資の公理という本がおすすめです。
ワイドモートについて詳しくかつ分かりやすく記述されています。
自分が思っているモートと、一般的に言われている堀の違いをしるにはうってつけ。
ワイドモートとは何かを調べる際には、まず最初に手に取っておきたい投資本です。
最後にワイドモートについておさらいしておきましょう。
構造的な優位性とは?
- 無形資産
- 顧客の乗換コスト
- ネットワーク効果
- コストの優位性
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