米国株をふくむ海外資産の場合、円建てとドル建てで売買する方法がある。投資では地域分散だとか通貨分散だとか言われるけど、はっきりいってよくわからない。とくにアメリカ株投資をしていると円建て評価で課税されるので混乱する。
そこでこの機会に、ドル建て資産と円建て資産の違いを理解しメリット・デメリットを抽出したい。
アメリカを代表する株価指数であるS&P500関連商品を参考にしよう。例えばS&P500連動のETFでは、1557とSPYがある。インデックスファンドではiFreeがいよいよ低コストでS&P500商品に参入する。
世界最大のインデックスを、円建てでもドル建てでも簡単に売買できる時代なのだ。為替による資産の評価方法についてまとめておく。
ドル建て資産は、日本の経済縮小リスク回避を助けるか?
読者の方からの質問
いつもブログとツイッターで勉強させていただいております。
今日ツイッターでリライトされた「
私は遅まきながら、数ヶ月前から投資を始めたアラフォーです。
勉強がてらにVOOやVTIを買ってみましたが、
そこで質問なのですが、円建ての先進国株やS&
はちどうきゅう様のように、
もしお時間がございましたら、お考えをお聞かせくださいませ。
お忙しいところ、申し訳ございません。
回答:ドル建てと円建てを比較しても大きな差はないと考える
- 我々の世代が生きている間、アメリカは覇権国であり続ける
- 通貨の中心もドルであり続ける
世界が発展するためには、まだまだアメリカ中心の経済力が必要だと思う。
しかし投資する商品が同じであれば、ドル建て資産であろうが円建て資産であろうが大きな差はないだろうと考えている。
日本国も日本円も、まだあと1世代くらいの時間は、その力が衰え切らないであろうからと思うからだ。
- キャピタルゲイン・インカムゲインの計算がわかりやすい
- 投資商品が充実している
- 給料を円でもらっており、
ドルを持つことでのリスクヘッジとなる
パッと思いつくメリットがこんな感じだ。
ドル建てと円建て資産の違いは、売買する通貨
そもそも、ドル建て資産と円建て資産の違いは何であろうか?
それは売買する通貨であると私は理解している。
- 米ドルで売買 → ドル建て資産
- 日本円で売買 → 円建て資産
ここに、”資産”という軸を加えると2×2の4パターンが完成する。
日本の資産をドル建てで考えることは日本人では稀なはずだ。
したがって3パターンを考えればよい。
その中で、米国株つまり海外資産円建て・ドル建てのメリット・デメリットを思いつく限り記録しておく。
米国株、円建てとドル建て資産の比較
上図でいえば下部分二つのメリット・デメリットを比較する。
- 海外資産×円建て
- 海外資産×ドル建て
円建て資産のメリット
- 日本で売買できるので、より身近に感じられる
- 円→ドルへと、ドル転をしなくてよい
- つまり手間がすくない
- さらに為替手数料不要
- 売買手数料がドル建てより安い(カブドットコム証券)
- 投資信託ならば、投資対象商品が豊富
円建て資産のデメリット
- 海外資産に投資しているという感覚を忘れがちになる
- 株価変動がわかりにくい
- 出来高が圧倒的に少ない
- ETFでは対象商品が1557しかない
ドル建て資産のメリット
- 世界最大かつ成熟したアメリカ市場で投資できる
- 投資する商品数が多くなおかつ高品質
ドル建て資産のデメリット
- 円での評価が分かりにくい
- 税金対策に時間を要する
- ドル転がよけな手間
- 為替手数料がかかる
- 売買手数料は円建て資産より高くなりがち
このように、円建てとドル建て資産の比較をしメリットを考え投資したい。
ここでさらに追加質問を頂戴した。
参考≫アメリカ株の買い方
海外資産の円建て投資商品が有利となる時代はくるか?
ご質問:投資商品が高品質になり、税金・為替の観点から円建て商品が有利になる時代はくるのか?
読者からの追加質問は以下の通り。
A群(対象する国に関すること)
B群(対象する商品に関すること)
A群の理由だけでは米ドル建に円建の米国株式向け資産を凌駕するリスクヘッジがあるとは言えない気がして、自分を納得させる理由を探している現状です。
むしろB群のような「便利さ」というプラスアルファが得られるので、円建てより米ドル建ての方がオススメですよということならば、例えばiFreeが仕掛けたように手数料が下がったり、商品ラインアップが充実してきた場合、為替リスクや税金を考えたら円建てのインデックスファンドや1557等の方が有利になる時代が近々訪れるのでしょうか?
回答:SPYと1557の出来高を見ると、円建て投資商品が有利となる時代は当分来ない
ここでもS&P500連動ETFを例に出す。
SPYは運用残高が26兆円と世界最大のETFである。
トヨタの時価総額よりも大きいのだ。
東京証券取引所にてSPYを円建てで購入できるようにしたのが1557である。
その1日の出来高(売買総額)は、1,000万円前後。
流動性が全くないと言っていい。
世界最大かつ最高の投資商品SPYというETFでさえ、円建て商品にしたとたんにチープな存在に成り下がってしまう。
この前例をみれば、海外資産の円建て商品が有利になるには大きなパラダイムシフトが必要だと感じる。
よって私は海外資産の円建て商品が税金・為替手数料を含めて有利になる時代は当分来ないと予想する。
米国株は円建て・ドル建てのメリットを考え投資しよう
そんなわけで私の結論はこれ。
- 当分の間、国はアメリカ、通貨はドルの時代が続く
- 米国株は円建て・ドル建てのメリットを考え投資する
- 同じ対象商品ならば、円建てドル建ても大きな差はない
- しかしドル建て資産の方が投資対象が多く視野が広がる
- 蛇足であるが円建て商品が有利となる可能性は今後は低い
以上、読者からの質問に気が向いたときには真面目に回答する”はちどうきゅうどう”がお送りしました。
See you!
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