米国高配当銘柄の代表、製薬大手メルクのキイトルーダについて記録しておきます。
進行・再発尿路上皮がんを対象としたKYENOTE361試験がネガティブだったというプレスリリースをうけ、キイトルーダの現状が気になったからです。
株主ではないのですけどね。
メルク【MRK】のキイトルーダ開発状況
ASCO2020後の株主向けリリースをもとにブログを書いていきます。
引用 Merck & Co., Inc. Oncology Event at ASCO 2020
ASCOとは世界最大の学会、米国臨床腫瘍学会
ASCOは、American Society of Clinical Oncology/米国臨床腫瘍学会のこと。
毎年6月上旬にアメリカ(近年はシカゴ)で開催される世界最大規模の学会です。
3~4万人の医療従事者が集まると言われています。
2020年はCOVID-19の影響で、バーチャル開催となりました。
おかげで学会発表スライドはダウンロードし放題ですし、口演はWebで聴講可能です。
今後の学会の在り方を問うているようにも感じました。
それはさておき、米国高配当株の雄、メルクが誇るキイトルーダの開発状況をみていきましょう。
キイトルーダは30種類もの癌腫で薬剤開発がされている
No. | 英語 | 概略 | 承認取得済 |
1 | Melanoma | メラノーマ | ○ |
2 | NSCLC | 非小細胞肺がん | ○ |
3 | H&N | 頭頸部がん | ○ |
4 | Urothelial | 尿路上皮がん | ○ |
5 | TNBC | トリプルネガティブ乳がん | |
6 | Gastric | 胃がん | ○ |
7 | cHL | 古典型ホジキンリンパ腫 | ○ |
8 | HNL PMBCL | 非ホジキンリンパ腫、原発性縦隔B 細胞リンパ腫 | |
9 | Mesothelioma | 中皮腫 | |
10 | Ovarian | 卵巣がん | |
11 | SCLC | 小細胞肺がん | ○ |
12 | Esophageal | 食道がん | ○ |
13 | NPC | 鼻咽頭がん | |
14 | Anal | 肛門がん | |
15 | Biliary Tract | 胆管がん、胆のうがん | |
16 | HCC | 肝細胞がん | ○ |
17 | ER+/HER2- BC | エストロゲン受容体陽性・HER2陰性乳がん | |
18 | Cervical | 子宮頸がん | |
19 | Thyroid | 甲状腺がん | |
20 | Salivary | 唾液腺がん | |
21 | Endometrial | 子宮内膜がん | ○ |
22 | Prostate | 前立腺がん | |
23 | GBM | 神経膠芽腫 | |
24 | MSI-H CRC | 高頻度マイクロサテライト不安定性大腸がん | ○ |
25 | MSI-H non-CRC | 高頻度マイクロサテライト不安定性非大腸がん | ○ |
26 | Carcinoid | カルチノイド | |
27 | pNET | 膵神経内分泌腫瘍 | |
28 | Merkecl Cell | メルケル細胞がん | ○ |
29 | ccRCC | 淡明細胞型腎細胞がん | ○ |
30 | nccRCC | 非淡明細胞型腎細胞がん | |
31 | tTMB-H | 腫瘍遺伝子変異量高値がん | |
32 | sSCC | 皮膚原発有棘細胞がん |
ひとつの薬剤で、ここまで多くの癌腫に効果が認められていることに驚きました。
メルク【MRK】のキイトルーダ開発数;1200以上の臨床試験が実施されている
キイトルーダの臨床試験数をみると
- 合計; 1,200以上
- 併用試験; 800以上
- 術後・術前試験; 110以上
- 承認申請試験 ; 90以上
数多くのクリニカルトライアルを実施中です。
承認申請を目的としたRegistration study が、90以上も組まれていることは注目に値します。
メルクの高配当は維持できるのか? キイトルーダの未来を占う
2020年以、キイトルーダで鍵となる臨床試験結果は毎年発表される予定です。
株価に影響しそうなものとしては、市場が大きい肺がんのAdjuvant/Neo-Adjuvant試験(KYENOTE412、091、671)でしょうか。
手術後/前にキイトルーダを投与することで、完全治癒を狙うということです。
また、メラノーマは日本では少ない癌腫ですが、白人にはメジャーなtumor typeです。
なので、皮膚悪性腫瘍の術後療法の結果も要注目。
他にも2025年までに、腎細胞がんや胃がん、膀胱がんなどで術後補助療法としてのキイトルーダの有用性が発表される予定です。
こうしてみると、腫瘍免疫療法がいわゆる「がん治療」の4本目の柱といわれる理由がわかりますね。
手術、放射線療法、化学療法、そして免疫療法ということです。
引き続きヘルスケアセクター銘柄には注目していきたと思います。
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医薬品開発はハイリスク・ハイリターンなので、ヘルスケアセクターは個別株よりETFの方が安心して投資ができますね
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