外資系企業は、株式報酬を採用していることが多いです。
給与(昇給)とボーナスを補足する形で、株式報酬が存在しているのです。
つまり、Compensation(報酬)は以下の3点が主体となっているということ。
- 給与(昇給);Merit Increases
- 賞与;Bonus Payment
- ストック;Equity Awards
この株式報酬の中に
- ストックオプション
- RSU(Restricted Stock Units=譲渡制限付株式)
が分類されます。
ちなみに私はサラリーマンですが、外資系の日本法人で働いています。
そしてストックオプションやRSUを受け取った経験があります。
2018年の理論年棒のうち、8%前後が株式報酬によるものです。
もしいま働いている会社の株価が10倍になったら、年収が大きく向上するということ。
逆に言うと株価がさがったら年収も下がるのですね。
このように、外資系企業勤務のサラリーマンにとって、株式報酬の影響は大。
そんなわけで本記事では、ストックオプションとRSUの違いについて紹介します。
RSUもストックオプションも、株式報酬の一種
株式報酬には多岐にわたる種類があることがわかります。
- 通常型ストックオプション
- SAR
- 株式報酬型ストックオプション
- 株式交付信託
- 譲渡制限付株式
- 株式購入資金
RSU:譲渡制限付株式(Restricted Stock)とは?
RSUを簡単にいってしまえば、
- 報酬対象は現物の株式
- 付与する株数を複数年に分けて報酬とする
ストックオプションがあくまでもオプションであることに対し、RSUは自社株式の現物が付与されます。
そして多くの場合には複数年経過した後に、全ての株式のVest(付与)が終了します。
ですからRSUは、中長期インセンティブを兼ねているのです。
したがいRSUは、LTI(Long-Term Incentive)といわれます。
たとえば2019年に100株をGrant(割り当て)されたとしましょう。
一般的には4年程度に分けられ、その時期がきたらVest(付与)されます。
取得年 | 2019年 |
Grant | 100株 |
2020年3月 | 25株 |
2021年3月 | 25株 |
2022年3月 | 25株 |
2023年3月 | 25株 |
2019年に100株のRSUを得たとしても、4年後にしか100株全てを得ることはできません。
とはいえ、近い将来の報酬が約束されているのです。
だからRSUは、「黄金の手錠」という例えがされたりします。
それではRSUとストックオプションは、どの点が違うのでしょうか?
ストックオプションとは、自社株式を買う権利
ストック・オプションとは、予め決められた価格で自社株を買う権利をいいます。
現物株式を貰えるわけではありません。
つまりストックオプションで予め決められた価格よりも時価が上昇している場合、この権利を与えられた社員は利益を受られるのですね。
逆に言えば、持っている権利よりも株価が低迷していると、ストックオプションを行使しても損をするだけです。
なのでストックオプションをもらった社員は、「株価上昇へ貢献するだろう」となるわけ。
だから成長企業は、ストックオプションを導入し、社員のモチベーションアップにつなげることが多いです。
ストックオプションのメリット
- 会社は取締役や使用人の意欲や士気を高めることができる
- 株価の値上り益を通じて、取締役や従業員は将来の報酬を得ることができる
RSUやストックオプションなどの株式報酬を経産省はおすすめし始めている
株式報酬とくにリストリクテッド・ストックの導入を経済産業省が推進しているようです。
2016年に導入の手引書を作成しています。
なので日本企業にも株式報酬がどんどん浸透していくと思われます。
しかしながらよくみると「役員報酬」となっていますね。
経産省はまず、株式報酬の対象を会社役員に絞っているように見受けられます。
役員に、ペイフォーパフォーマンスの考え方を根付かせようとしているのかもしれません。
日本企業の経営者層に求められている業績連動報酬
上図は経産省HPからの引用です。
日本企業の経営者層には株式報酬がすくなく、業績向上のインセンティブが働いていない旨が明記されています。
日本企業に株式報酬が普及した場合はどのような未来となるのでしょうか?
業績向上につながり株価向上することが想像できます。
このストーリーを信じられるならば、日本株への投資も吉となりそうです。
ただし、株式報酬を導入する企業がまだ少ないのがネックです。
ひるがえって株式報酬が一般化している海外企業の従業員はどう感じているのでしょうか?
外資系社員の多くが、少なくとも自社の株価やEPSには興味があるはず。
自分の給料に直結するのですから当然です。
現に私は外資系企業の複数社で勤務経験がありますが、ESPが社員の昇給やボーナスの評価基準となっていました。
なので、とくに年収が決まる年末・年度末になると、自社の株価やEPSをチェックします。
こうした背景があり、もし株式投資をするならば、日本株よりも外国株の方が良いと感じます。
とくに、広く分散する投資方法の場合、米国株式の優位性はまだ続くのだと思います。
また、こうした報酬制度の違いは、サラリーマンとしての選択にも関わってきます。
働いた分だけ、結果をだし価値を上げた分だけの報酬を望むのならば、日系よりも外資系企業の方が望ましいことでしょう。
働きながらスキルアップをし、収入アップを実現するには、外資系企業に軍配があがります。
参考>>>『「攻めの経営」を促す役員報酬~新たな株式報酬(いわゆる「リストリクテッド・ストック」)の導入等の手引~』を作成しました
RSUを導入している日本企業
株式報酬とは日本企業に普及しているとはいい難い状況です。
今後、日本企業がストックオプションやRSUを導入し、業績連動型報酬に舵をきっていくのかどうかに注目したいと思います。
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コメント
決算のニュースを見てたりすると、外人は会社の純利益そのものはどうでも良いと思ってますね多分。
ヘッドラインに出てくるのはほとんど1株利益なので、あくまで大切なのは1株利益ということで、株主と経営陣との利害が一致しているように感じます。日本は全体の純利益さえ増えればいくら増資しようが良いと言う感じで、株主と経営陣の利害は相反していますね。
日経新聞に営業利益や経常利益が何%増とかではなく、1株利益が何%増とか出るようになるまで、あと何年かかるのでしょうかね。