景気後退(リセッション)の定義とは? 米国株投資編
景気後退(リセッション)の定義は2つあります。
- GDPが2四半期連続でマイナスになっとき
- NBER(全米経済研究所)が景気判定をしたとき
どちらも景気後退が始まった後にしか知ることができません。
米国GDPの速報値は、しばしば改訂される
米国GDPは
- 四半期毎にしか発表されない
- 速報値発表の後に、改訂されることがある
ですから正確なGDPを知ることが出来るのは、時間が経過してからです。
GDP(Gross Domestic Product;国内総生産)とは、その年に国中で生産されるすべての製品とサービスの価値の合計です。
1年間に米国でつくられたすべての最終製品の価値を足しあわせて、それにサービス産業で働いている人たち(ホテルスタッフ、先生、ウェイター・ウェイトレスさん、警官や消防士など)が生み出した価値を足し合わせた数値がGDPです。
だからコロナウィルスの影響で、ヒトやモノの流れがとまると、GDPは低下すると予想できます。
ちなみに2018年のGDPは
- 米国;20.5兆ドル
- 日本;約5兆ドル
アメリカって大きい国ですね。
専門家であっても景気の転換点をすぐに判断することは難しい
NBER判定にいたってはリセッション入り後6~18カ月に認定されます。
NBERが景気の転換点を決める際に注目する指標は主に4つです。
- 雇用
- 鉱工業生産
- 実質個人所得
- 実質製造業売上高
もちろんこれら以外の指標を含め総合的に景気を判断します。
しかし最終的な判定は、実際の日付が随分と過ぎ去ってしまう頃に発表されます。
つまり専門家であっても、景気の転換点をすぐに確定し発表することは困難なのです。
景気サイクル;株式投資に関連するが、予測は難しい
景気後退が始まる0~13カ月前に、株価は天井をうってきた
景気後退 | 株価指数のピーク | 景気のピーク | 株価のピークの先行期間(ヵ月) | 株価ピークから景気ピークまでの下落率 | 株価指数の最大下落率(12ヵ月) |
1948~49年 | 1948年5月 | 1948年11月 | 6 | -8.91% | -9.76% |
1953~54年 | 1952年12月 | 1953年7月 | 7 | -4.26% | -9.04% |
1957~1958年 | 1957年7月 | 1957年8月 | 1 | -4.86% | -15.32% |
1960~61年 | 1959年12月 | 1960年4月 | 4 | -8.65% | -8.65% |
1970年 | 1968年11月 | 1969年12月 | 13 | -12.08% | -29.16% |
1973~75年 | 1972年12月 | 1973年11月 | 11 | -16.29% | -38.80% |
1980年 | 1980年1月 | 1980年1月 | 0 | 0.00% | -9.55% |
1981年~82年 | 1980年11月 | 1981年7月 | 8 | -4.08% | -13.99% |
1990~91年 | 1990年7月 | 1990年7月 | 0 | 0.00% | -13.84% |
2001年 | 2000年8月 | 2000年8月 | 7 | -22.94% | -26.55% |
2007~2009年 | 2007年10月 | 2007年12月 | 2 | -4.87% | -47.50% |
平均 | 5.4 | -7.90% | -20.20% |
株価(S&P500)は、米国の景気先行指数のひとつです。
第二次大戦後の米国における11回の景気後退期では、景気後退の0~13か月前に株価が天井となっていました。
その後、株価が下がり景気後退が始まっていたのです。
景気後退が始まる前の株価下落率の平均は7.9%でした。
しかし株価が7.9%下落したからといって景気後退が始まるわけではありません。
株価も経済も、未来はだれにも読めないのです。
とはいえ、コロナショックは景気後退に繋がる可能性が高いと思われます。
兼業投資家は、景気後退で株価が下がることと共に、本業への影響を意識したい
米国株におけるリセッションの定義をおさらいしました。
株式投資ではリターンの変動幅が大きいことを、リスクが大きいと表現します。
景気後退局面を目の前にして、リスクが大きい、ボラティリティの大きな相場環境が続くと思われます。
他方で兼業投資家にとっては、本業を失うリスク(可能性)を忘れてはいけません。
株式投資でお金を失い、本業で職を失ってしまっては、経済的な巻き返しをすることに大きな労力を要します。
なので株価の変動や景気動向をチェックするのは大事ですが、本業をしっかりこなすこともまた大切だと思います。
- 景気後退は2つの定義がある(①2四半期連続のGDPマイナス、②NBERの景気判定)
- リセッション前に株価下落することが多い(0~13か月前)
- 兼業投資家は、株式市場だけではなく本業を失うリスクを注視したい
以上、「米国の景気後退・リセッションの2つの定義とは?」 でした。
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