外資系企業、とくに米国資本の会社では、RSUを導入していることが多いです。
RSUは、Restricted Stock Unit(制限付き株)の略号。
つまり外資系企業は、RSUという報酬体系にて自社株を社員に与えていることがあるのです。
RSUは自社株式を数年にわたり付与されます。
期間は4年であることが多いと思います。
長期にわたる報酬なので、LTI(Long Term Incentive)の側面を持っていますね。
ちなみに私は現職においてRSUを受け取っています。
なので未来の報酬を一定額可視化されています。
黄金の手錠をはめている状態。
他方で日本企業ではRSUを導入している会社は少ないようです。
米国株投資をしていても、RSUを知らない人はいることでしょう。
そこで本記事では、RSUのメリット・デメリットについて紹介していきます。
RSUとは、外資系企業によるCompensation(報酬)のひとつ
米国企業では、報酬のことをCompensationと呼びます。
この報酬は、大きく3つに分類されます。
- 給与(昇給);Merit Increases
- 賞与;Bonus Payment
- ストック;Equity Awards
このうちのストック・株式付与案のひとつが、RSU。
では、RSUはいつ・誰が受け取ることができるのでしょうか?
RSUは、入社時、昇進時もしくは、ハイパフォーマンス時に付与されることが一般的。
外資系企業ではペイフォーパフォーマンスの文化が根付いています。
だから給与(昇給)を補足するものとして、賞与の他にRSUのようなストックプランを用意しているのです。
つづいては、RSUの具体的な例を紹介します。
RSUの実際;GrantとVest
RSUにて、100株を4年にわたりGrant(割り当て)されるケースを例示します。
ここでは4年間、同率に案分するとしています。
取得年 | 2019年 |
Grant | 100株 |
2020年3月 | 25株 |
2021年3月 | 25株 |
2022年3月 | 25株 |
2023年3月 | 25株 |
2019年にRSUを得た場合、2020年3月からの4年間、毎年25株ずつがGrant(割り当て)されます。
そして2020年3月になってはじめて、25株がVest(付与)されるのです。
ですから100株のRSUをGrant(割り当て)されたからといっても、すぐに社員が100株全てを獲得できるわけではありません。
RSUのメリット・デメリット
ストックプランとしてRSUを導入する企業の目的は何でしょうか?
- 社員が会社に認められていると実感してもらうこと
- 会社の長期的展望に確信をもってもらうこと
- 社員を惹きつけ、会社に残ってもらい、やる気を起こし、業績向上に寄与してもらうこと
企業側からみたRSUを俯瞰すれば、サラリーマンとしてのRSUのメリット・デメリットが浮かび上がります。
RSUのメリットは、外資系サラリーマンのモチベーション&年収アップ
外資系サラリーマンとしてRSUを得ることは、年収アップに繋がります。
自社株の付与によって、収入が上昇するのです。
給与&会社からの追加的報酬によって、モチベーションが上がりますよね。
RSUのメリットには、収入上昇とモチベーションアップが挙げられます。
他方で、RSUにはメリットばかりではありません。
RSUのデメリット;馬車馬の如く、長期間働くことが求められる?
RSUは、会社員のモチベーションを上げることに繋がります。
そして一度獲得したRSUは、さらに欲しくなってしまうのです。
さらに、ポジションが上がると、RSUで付与される株数が多くなることが多いです。
- 一般社員よりManager
- ManagerよりもSenior Manager
- Senior Managerよりも、Director
- DirectorよりもSenior Director
つまり頑張ればRSUが貰える、出世すれば付与数が増えるというわけ。
具体的には以下のような状況となります。
取得年 | 2019年 | 2020年 | 2021年 | 2022年 |
Grant | 100株 | 100株 | 200株 | 400株 |
2020年3月 | 25株 | |||
2021年3月 | 25株 | 25株 | ||
2022年3月 | 25株 | 25株 | 50株 | |
2023年3月 | 25株 | 25株 | 50株 | 100株 |
まさに、LTI(Long Term Incentive)
一度でもRSUを獲得すると、外資系サラリーマンはこの未来に気がつきます。
つまり報酬がどんどん増えるというニンジンがぶら下がっていると認識するのです。
だから社員は長期間にわたり、頑張ってしまうのですね。
このようなサイクルが発生するので、RSUは『黄金の手錠』と比喩されます。
この、ちょっとだけ頑張ってしまう状況が長く続きがちなことが、RSUのデメリットではないでしょうか。
逆に企業側にとっては、思うつぼということです。
その他にRSUのデメリットとして、税金対策があります。
RSUで付与された株式は、特定口座には入りません。
ですから株式付与時に勤務先が税金対応をしていても、社員が株式売却した際には確定申告が必要になります。
このように外資系サラリーマンは、RSUのメリット・デメリットを知った上で、日常業務の中で背伸びをしてみるのが良いと思います。
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