男性と比較し女性の方が投資成績が優れている
投資をしている人数は1,266万人。
性別でみると、株をやっている人の割合は男性17%、女性8.5%と推計されます。
投資成績の性差比較をみると、女性の方がリターンが優れているというデータが多いです。
たとえば大手投資会社のFidelityは、男性より女性の方が2016年の投資リターンが0.3%良かったと発表しています。
また、2001年には米国証券口座を分析した研究事例が報告されています。
- 1991年2月~1997年1月の、37,664の米国証券口座では
- 投資パフォーマンスが
- 男女の性別や年齢によって変わる
- 自信過剰による回転率の高さが一つの理由
リターンを求めて取引を増やしていたはずの行動が、かえって収益を引き下げてしまっていたというのです。
この研究では、男女で投資行動に差が出る理由として、オーバーコンフィデンス(自信過剰)を挙げています。
男女の投資リターンを比較した研究結果は、どんな人が対象なのか?
年齢は50歳前後で、平均年収は7万ドル(800万円前後)

男女の投資リターンの差1
Brad M. Barber等の研究では、ふたつのパネルのデータを用いています。
- パネルA;インフォベース
- パネルB;自己申告データ
インフォベースのサンプルでは、婚姻率や子どもを持つ割合は女性よりも男性の方が高くなっていました。
平均年齢や年齢中央値は男女で大きな違いはなく、50歳前後です。
世帯年収は女性の方がわずかに低い傾向が見られるものの、平均では女性73,000ドルと男性75,600ドルという結果でありそれほど大きなものではありません。
女性よりも男性の方が投資経験が豊富

男女の投資リターンの差2
パネルBでは自己申告によって年収や投資額、投資経験のデータを取得しています。
上表は投資経験のみを抜粋してきました。
男女ともに「投資経験なし」という人の割合は5%前後と少ないです。
投資経験の中で、GoodとExtensiveを足した差は14.7%となり、男性の方が幅広く資産運用をしていることがわかります。
尚、サンプル数はパネルAより少ないことは要注意です。
男性・女性ともに、従来のポートフォリオのままで、取引をしない方が投資リターンは優れていた

男女の投資リターンの差3
投資額は男性の方が大きい
女性の方がポートフォリオの金額は有意に小さかったです。(平均-3,604ドル、中央値-831ドル)
当初のポートフォリオ評価額(平均値、中央値)
- 女性:18,371ドル、7,387ドル
- 男性;21,975ドル、8,218ドル
月間の回転率は女性の方が小さく、取引が少ない
月間の回転率(平均値、中央値)
- 女性:4.4%、1.74%
- 男性;6.41%、2.94%
回転率を年率換算すると以下のように、取引への取り組みの男女の違いが顕著だったとわかります。
- 女性:53%
- 男性;73%
月間の平均リターンは、男女ともにベンチマークを下回る
性別にかかわらず、グロスリターン(課税なし)、ネットリターン(課税あり)ともにベンチマークに比較し有意に劣後していました。
男性も女性も、無駄な取引をせずに、期初のポートフォリオを維持していた方が良かったと言えそうです。
男性は女性より、年率0.94%も投資リターンが劣っていた
投資収益がさえない男女を性別で比較すると、男性の方がよりリターンが劣っていました。
月間ネットリターンの男女比較(vs ベンチマーク)
- 女性;-0.143%
- 男性;-0.221%
最初に保有していたポートフォリオを維持した場合より、男女ともにリターンは劣後しています。
その幅は男性の方が大きく、性別に統計学的有意差があります。
男性は女性に比較し、月間0.078%、年間ではなんと0.94%も運用成績が劣っていることが分かりました。
男性の方が自信過剰による回転率が高い事が理由として考察されています。
株式投資の売買回転率の違いは、①性別、②結婚有無、③年齢

男女の投資リターンの差4
女性よりも男性は回転率が高い
今回解析された変数のうち、回転率で大きな差が見られたものは性別です。
結婚している女性は男性よりも月間回転率が1.46%も小さかったです。
さらに独身女性と男性の差はより顕著でした。
月間回転率の差は2.19%となります。(1.46%+0.733%)
独身男性は、独身女性より67%多い取引を行っているため、単身女性よりも1年あたり1.44%も投資収益を減らしています。
その他、年齢の10年単位で、月間回転率が0.31%低下することが明らかになりました。
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