書籍と論文の違いとは何でしょうか。
2020年に本の作者、論文著者となる経験をしたので、思うところを綴っておきます。
正直にいうと、はじめて書いた本の宣伝を兼ねています。
医学論文と「世界一やさしい 米国株の教科書 1年生」書籍の著者(Author)になるという経験
書籍 | 論文 | |
著者名 | はちどう | 実名 |
所属 | ブロガー | 実勤務先(製薬) |
ジャンル | 米国株投資 | 臨床・医学 |
投稿先 | ソーテック社 | 海外雑誌 |
言語 | 日本語 | 英語 |
過去の経験 | なし | あり |
ライティングサポート | 編集あり | 外注あり |
査読 | なし | あり |
「世界一やさしい 米国株の教科書 1年生」と医学論文を同時執筆する経験をブログで紹介します。
その前に、どのような立場からの意見なのか、ある程度の情報を開示しておきます。
これら項目にそって、論文と書籍の同時執筆活動の経験者として感じたギャップを紹介します。
本と論文の違いとは? 実際に著者(Author)「世界一やさしい 米国株の教科書 1年生」となって感じた3つのこと
書き手の立場を明示するかどうかの差
まず大きな違いは、氏名や所属、そしてCOIを明らかにするかどうかです。
論文では著者の立場を明確化は必須。
他方で書籍ではハンドルネームでも書き手となることが可能です。
たとえばICMJE(医学雑誌掲載のための学術研究の実施、報告、編集、および出版に関する勧告)(2017年12月改訂版)では、以下のように利益相反の報告が必須となっています。
科学研究の計画、実施、執筆、査読、編集、および出版の過程で利益相反 [conflicts of interest] の取り扱いが示す透明性の程度は、科学的方法に対する社会の信頼や掲載論文の信憑性を左右する要因のひとつである。
ヘルスケアセクターの論文では当然のことだろうと推察します。
このルール下にいたので、書籍執筆業務時における自己開示の少なさに驚きました。
なにせ「はちどう」というハンドルネームが作者名なのですから。
この差は、投資本と医学雑誌という違いに起因するのかもしれません。
私は、書き手がどのような立場でその内容を執筆しているを開示することは、信頼性に関わる問題だと感じていました。
こうした視点でみると、私の担当させていただいた米国株投資本は、どこの馬の骨ともわからない奴によるコンテンツであるといえます。
いや、執筆者は「はちどう」なのですけどね。
投資本の著者となる経験し感じたところを具体的にいうと、
と、常に不安を抱えながら執筆にむかっていました。
読み手の違いと、編集者の意思の差
論文や書籍では、著者と読者と発行者が存在します。
今回の経験から、いずれも投資本と論文では、差異があると感じました。
とくに読者の違いは顕著です。
医学論文では読者の多くが医師などの医療従事者と限定的。
しかしながら米国株投資本では、「日本語が読めて米国株に興味のある人」といったようにその範囲が広くなります。
執筆者の立場からすると、論文投稿時よりも書籍執筆の方が「読者視点」に重きをおくことになります。
いわゆるペルソナを設定しておかないといけません。
これを忘れると、本を書いている時にうっかり迷子になりかねないので要注意です。
ちなみに私の場合は、投資未経験者である妻(つみたてNISAだけは設定済)を、想定読者としていたことをここに告白します。
つぎに、編集者の意図が全く異なります。
投資本の編集者は、論文と比較して読者寄りの内容や文章を求める傾向があるように思います。
著者と編集者の意見の相違が生じるリスクを感じました。
作家と編集の間で繰り広げられるドラマが思い起こされますね。
とはいえ私は、出版業界に疎い人間。
投資の専門家というわけではありません。
なので編集者の言いなり、
とまでは申しませんが、内容や文章についてかなり譲歩したように記憶しています。
もうちょっと我を通した方が良かったかも、と感じることもありました。
しかし終わってみれば、編集人の久保田さんや、発行人の柳澤さんの助言が正しかったのだと理解しました。
言いたかったことが、わかりやすくまとまった内容になっていたからです。
感謝しかありません。
査読有無による、正確性のギャップ
今回感じた最も大きな相違点は、ピアレビューの有無です。
一般的に医学雑誌では、査読(Peer review)があります。
査読とは、専門家による投稿原稿の批評的評価であり、通常編集スタッフ以外の専門家が行うものです。
公平で偏りのない独立した批評的評価は、科学研究を含むすべての学術活動の本質的な要素であることから、査読は科学的方法の重要な実践手段だと考えられています。
しかし書籍は、専門家による批判的評価を受けずに発売されます。
この違いは大きく、本の著者となることにプレッシャーを感じました。
なぜかって、不特定多数の読者の方から批判的評価を受けることになるからです。
ドキドキですよ。
こうしてみると、書籍の著者経験を通し、世の中の投資本に書いてある内容やデータが必ずしも正しいものばかりではなく、間違ったことであってもそのまま出版されている例は多くあるのだろうな、と思いました。
2020.05.31追記
出版業界には、「監修」制度があります。その道の専門家や権威者にレビューをしてもらい、●●●監修といった感じで、事前レビューが入ることもあるとのこと。
とはいえ、査読のようにしっかりとしたものではなさそうです。
世界一やさしい 米国株の教科書 1年生の書き手となった、「はちどう」
さて、こんなことを胸に秘めながら、世界一やさしい 米国株の教科書 1年生を執筆させていただきました。
米国株投資は資産運用の王道です。
私はそのことを知るまでに10年以上を要しました。
最近では、多くの投資書籍やブログ活動によって、運用に関するノウハウや知識が僅かながらも蓄積されてきました。
本書では、米国株に関するその全てをまとめています。
これから米国株をはじめたい人、投資をはじめたい人、日本株だけでなく米国株運用もはじめたい、米国株ビギナーの方はせひ手に取ってみてください。
米国株投資によってゆっくりと、かつ最短距離で資産形成できることを願っています。
あなたの人生において、少しでもお役立ていただけますように。
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著者となるまでの葛藤です
シーゲル本は赤本もいいですが、緑本もまた味がありますね
米国株投資本リストです
世界一やさしい 米国株の教科書 1年生を執筆するにあたり、ひろめさんの書籍も一部参考とさせていただきました
コメント
はちどうさん本出されたんですね。継続は力なり。おめでとうございます。
気がついたら5年はブログやっていました。ありがとうございます。
絶対買いますね!
お買い上げいただきありがとうございます☆
凡人投資家のチンさんが紹介されてました。
https://www.youtube.com/watch?v=NNbTnefRQ30
私も買ってみようと思いました。