ABT、アボットラボラトリーズとは歴史と伝統を有するアメリカのヘルスケア総合大手企業である。
2013年にバイオ新薬をアッヴィ ABBVとして分社化した。つまり製薬企業というよりはその他のヘルスケア部門で成り立っている会社である。
ABTといえば20世紀後半のトータルリターン第2位のシーゲル銘柄。さらには米国株配当貴族インデックスの構成銘柄でもある。株価と配当成長が期待できるわけだ。
本記事は米国注目株シリーズの一環である。銘柄分析とはいかないがアメリカ株ABT アボットラボラトリーズの企業紹介をしたい。
ABTは4事業を有し、新興国に強みを持つヘルスケア企業
アボットラボラトリーズは4分野に多角化経営をしている、ヘルスケアコングロマリットである。
- 栄養補助食品:33.1%
- 診断(検査・測定機器):23.1%
- エスタブリッシュ医薬品(後発品):18.5%
- メディカルデバイス(血管系の医療機器):13.9%
- その他:11.4%
さらに商売をする国も幅広く展開している。とくに新興国に強みをもつのが特徴だ。
- 先進国:58%
- 新興国:42%
ABTの地域別売上高を2016年の決算から拾うと、インドや中国にもしっかりと事業展開している。
- アメリカ:31.1%
- 中国:8.3%
- インド:5.3%
- ドイツ:5%
- 日本:4.4%
- オランダ:4%
- スイス:3.7%
- ロシア:2.7%
ABTはこの数年、M&Aを繰り返している
- 2013年:バイオ新薬事業をABBVに分社化
- 2015年:先進国での後発品医薬品事業をマイランに売却
- 2016年:セント・ジュード・メディカルを買収し、血管部門を強化
ヘルスケアセクターの配当貴族銘柄とはいえ、医薬品企業とは異なる戦略を立てている。
ABT アボットラボラトリーズの業績
株価指標:ABTの株価チャートは堅調
2017年9月22日 | |
ティッカー | ABT |
株価 | 51.52 |
PER | 80.6 |
EPS | 0.65 |
配当 | 2.02% |
配当性向 | 154.4% |
配当月 | 2/5/8/11月 |
増配年 | 45 |
増配率(5年) | NA |
増配率(10年) | NA |
β | 1.55 |
2013年にアッヴィをスピンオフしたことで、配当金・増配率の計算が難しくなっている。それでもアニュアルレポートでは45年連続増配であると強調している。
いずれにせよABTとABBVは米国配当貴族インデックスの構成銘柄である。つまり25年連続増配+S&P500の構成銘柄という最低限は満たしているのだ。
直近10か月のABTの株価チャートはこちら。
売上高と利益率:ABTの業績は順調に伸びている
アボットラボラトリーズの分社化以降の売上高をみると、微増という表現が適切である。今後はセント・ジュード・メディカル買収効果がみられるはずだ。
キャッシュフロー:ABTのCFはM&A次第
2015年に先進国における後発品医薬品事業をマイランに売却している。その影響がどこにあるのかは分かりかねる。
それでもキャッシュフローは安定しており、ディフェンシブ銘柄といえる。
配当金状況:ABTは米国配当貴族インデックス構成銘柄
アボットラボラトリーズをみると、増配の歴史は長いことが分かる。45年もの間、毎年配当金を増やし続けてきたいのだ。
ABBVスピンオフ後もしっかりと増配は継続している。
ABTに投資する際のリスク
アボットラボラトリーズへの投資の際には、まず新興国の規制リスクを考えたい。栄養食品は安定・ディフェンシブな事業である。ただし例えば中国政府がABTの栄養補助食品に対して何かしらの規制をとる可能性はゼロではない。
さらにM&Aリスクも鑑みたい。セント・ジュード・メディカルを買収したということは、メディカルデバイス(血管)を強化したことになる。これは逆に、メドトロニックやJ&Jとガチンコで競合することになる。
追加して、アメリカFDAの動向にも注目したい。新規医療機器の承認が遅れてしまったりする可能性もある。
私見:
アボットラボラトリーズは優良株である。
- ディフェンシブなヘルスケアセクター
- 大手で安定業績
- 多角化経営されたリスクヘッジ
- 連続増配銘柄
- シーゲル銘柄
だが2017年9月時点でのABT株価は少し高いように思う。さらにインカムゲイン投資家にとっては配当利回りが2%前後とやや低い。
ヘルスケアコングロマリットといえばジョンソン・エンド・ジョンソンJNJという超優良銘柄があり、まずはJ&Jへの投資を検討してからABTを見ても遅くはないだろう。
以上、アボットラボラトリーズの紹介でした。
See you!
著者はABT株を保有していません。この記事は自分自身の備忘録として記述したもので、読者にABT株の投資を推奨することを目的として書いていません。投資判断はご自身で行ってください。
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